日銀・黒田総裁会見4月27日(全文2)2%達成が24年度以降でも致し方がない
米中対立のリスクをどう見ているのか
NHK:総裁、NHKの【ナガノ 00:39:53】です。2点質問させていただきます。総裁、常々、金融緩和の出口に向けた議論は時期尚早であるというふうにおっしゃっておられます。今回、展望レポートで2023年度の物価見通し、目標の半分程度、届かないという中で、かつ総裁の任期が2023年の4月という中において、そうしますとこの黒田総裁の下で急拡大した日銀のバランスシート、大規模な金融緩和の出口戦略については、そのあとの体制といいますか、任期のあとに議論されることになるのか、それとも黒田総裁の下においてこの急拡大したバランスシートの日銀の金融政策の正常化に向けた議論、ある程度の道筋を付けたいというような思いがあるのかどうか、その辺をまず1点お伺いしたいと思います。 2点目については、日本経済の先行き、この持ち直し基調を続けるかどうかというシナリオの前提として、やはり海外経済の回復基調というのがあると思います。他方で今アメリカと中国、非常に対立が激しくなっております。ご案内のとおりかと思います。こうした米中対立が世界経済に与える下押し圧力、あるいはリスク等について、総裁はどのようなご所見をお持ちでしょうか。以上2点、よろしくお願いします。
出口戦略の議論は時期尚早
黒田:まず第1点の出口戦略につきましては、従来から申し上げているとおり、どういうことがありうるかというのは当然のことながら、拡大したバランスシートをどのようにするかということと、政策金利をいつ、どのような形で引き上げていくかという、この2つの点が出口の場合に、どこの国でもそうですけども、必要になってくるわけですので、そういったことを議論するということになると思いますが、現時点では出口を議論する、具体的な出口戦略を議論するのは時期尚早であるということで、あくまでもやはり2%の物価安定目標の達成が目に見えてくるという段階で、具体的にどういった手順で出口を迎えるかという出口戦略の議論を政策委員会で議論すると。そしてそれを適切に対外発信するということになると思います。 先行きの経済について、確かに米中が、世界の最大の経済である米国と2番目の中国が、コロナ禍からの回復をリードしているということでありまして、これ自体は結構なことだと思いますけども、ご指摘のように米中の間にさまざまな貿易その他、対立点があるということも承知しておりますが、ただ、だからといって米中それぞれの経済回復に大きな障害になるような事態が発生するというふうにはみておりません。ただ、リスクとしていろんなことがありうる中に、さまざまな地政学的リスクというものも常に展望レポートなどでも指摘しておりますけども、そういうものの1つとしてありうるとは思いますけども、今の時点で何か米中が世界経済の回復をリードしている状況に何か大きなマイナスになるような事態が発生するというふうにはみておりません。