日銀・黒田総裁会見4月27日(全文2)2%達成が24年度以降でも致し方がない
続投する考えは頭の片隅にあるのか?
テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。まずは成長率見通しについてお伺いしたいんですけれども、先日、4月6日に公表されましたIMFの世界経済見通し、これで見てみましてもイギリスですとかアメリカですとか、ほかの先進国と比べて日本の成長率見通しというのは力強さがないといいますか、弱めに出ていますよね。この理由というのをどう分析していらっしゃるのか。これは、ワクチン接種の進捗というのも影響してくるとみていらっしゃるのか、その辺りも含めて教えていただきたいです。それがまず1つ。 そしてもう1つですけれども、物価目標2%の達成というのがなかなか黒田総裁の任期中は難しそうだという見通しが出たわけなんですが、この任期満了後、ではその物価目標2%の達成を見届けるためにも、もう1期続投する、こういうことは頭の片隅におありだったりするのかどうか、これもお願いいたします。 黒田:成長見通しにつきましては、確かにIMFの見通しで非常に明確なのは、中国と米国がかなり今、急速に成長を回復していくというシナリオになっているわけですね。ただ、そのほかは区々でありまして、例えば欧州諸国も、それからわが国もそうなんですけども、米国、中国に比べると回復の展望がかなり遅いということであります。
2%目標自体は極めて正しい決定
そうした中で、ワクチンうんぬんというのは確かにあるわけですけれども、これが、ワクチン接種が進めば、人々が安心して外出できるということで、対面型サービス消費が回復するということにつながりますので、ワクチンの接種が進むということが回復を加速するというか、前倒しにするという効果があることは事実なんですけども、IMFの見通しを見ていただいても分かりますように、例えば英国は非常にワクチンの接種が進んでいるわけですけども、IMFの見通しだとほかの欧州諸国の成長見通しとあまり違わないというか、ドイツなどよりもやや遅いというふうになっていますので、ワクチンだけで何か決まってくるということではなくて、やはりそれぞれの国の潜在成長力とか、そういうものと、それから落ち込んだところからの回復というのと、両方の面があるんだと思います。 そういう意味では、わが国の場合は潜在成長率が従来から1%前後と。リーマンショック後は1%を割っていたわけですけれども、そういう形で米国などに比べると潜在成長力がかなり低いということがまずあったと。それからもう1つは、確かにワクチンの接種が進んで、対面型サービスが米国の場合はかなり急速に回復しているということが成長率の急速な回復に効いているということはあろうと思います。 2%の目標、これは日本銀行としての物価安定の使命ということに関わることであり、私が総裁になる前の時代にすでに2%の物価安定の目標というものを決められていたわけです。私はこれ自体は極めて正しい決定だろうと思っていますし、今後もそういう形が続いていくと思いますが、ご指摘のようにもう1期やりたいとか、やるとか、そういう、そもそも総裁の任命というのはご案内のとおり、国会の同意を得て内閣が任命するという話ですので、私の個人的なうんぬんとはまったく関係ないと思います。