日銀・黒田総裁会見4月27日(全文2)2%達成が24年度以降でも致し方がない
各国の経済動向に応じて金融政策が展開される
それからFedの金融政策の動きについては私から何か申し上げるのもせんえつですけれども、確かに昨年来、コロナ感染症が世界的に広がる中で、主要国の中央銀行は皆、大幅な金融緩和を続けてきたわけですが、もちろんそれぞれの金融政策っていうのは、それぞれの国の経済・物価動向に合わせたことをやっておられるわけですので、それぞれの国の経済動向に応じて金融政策っていうのは展開していくと思います。 仮に、そういったことで外国とスピードとか、成長のスピードの違い、物価上昇率の違い等に応じて金融政策が主要国の間で若干違いが出てきても、それは典型的には金利格差で為替が動くという議論だと思いますけれども、ご案内のとおり、このところずっと主要国の間の為替レートっていうのは極めて狭いレンジで動いて、安定していまして、それは金利格差うんぬんよりも、2%の物価安定目標を目指して各国の中央銀行が金融政策を運営しているっていうことが、いわば収斂して、同じ状況になっているっていうことがより効いているように思いますので、もちろん十分注意しなくちゃいけないとは思いますけども、何かそれぞれの経済状況に応じて金融政策が変わったときに、何か為替について、主要国の為替について、大きな影響が出るというふうにはみておりません。
今の金融施策を続けることで達成できるのか
産経新聞:産経新聞の大柳です。すいません、また2%の物価目標についてお聞きしたいんですけども、相当長く、総裁就任してから8年達成できなくて、本日の展望レポートでも2%に届かないということで、長期化が予想される中で3月、点検して副作用に対する対策も打ったということなんですが、23年度以降となると総裁の任期が終わったあと達成するということになるんですけれども、3月に手だてした副作用対策でも、しばらく今の金融施策、粘り強くやることで2%を達成できるのでしょうか。その辺りのお考え、お願いいたします。 黒田:これはそれぞれそのときそのときの経済・物価動向に応じて金融政策決定会合で金融政策、決めるわけですので、2%の物価安定目標を達成のために必要となれば、先ほど申し上げたようにちゅうちょなく追加的な金融緩和を講じると、あるいはそういうことができるような機動性、持続性を高めるような点検も行いましたので、そういうことになると思います。 そうした上で現在の政策委員の見通しの中央値で言いますと、確かに2023年度でも物価上昇率は2%に達しないということは事実ですので、この見通しということであれば、2%の達成は2023年ではなくて、24年度以降ということになろうと思います。 私の任期は2023年の4月だったと思いますけども、あまりそういう任期内にどうこうとか、そういうことは必要ないことだと思いますので、いずれにせよ最大限の努力を払っていくということですし、その結果として達成が24年度以降になったとしても、それは致し方ないというふうに思っております。