「テラスハウス」木村花さんの件も担当する弁護士に学ぶ、ネットトラブル対処法
累計210万部突破の大人気コミック「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」の監修を務め、主人公のネットトラブル専門弁護士“保田理”のモデルでもある清水陽平弁護士にインタビュー。 【動画】清水陽平弁護士がモデル「しょせん他人事ですから」ドラマ化!
ネットトラブルに遭ったら、どうすればいい?
――ネットトラブルについての相談は、どんなものが多いですか? 「Xでの誹謗中傷などが全体の8割ぐらいですね。会社や、SNSを活用して集客するビジネスをしている人からの相談もあります」 ――逆に珍しい相談はありますか? 「Googleマップのスポット情報を勝手に書き換えられたので、書き換えた人の開示請求したいという相談でしょうか。誹謗中傷とはちょっと違う切り口なのと、類型としてそれほどあるものでもないので、珍しい相談といえます」 ――解決できないこともあるんですか? 「実は、解決できない事例の方が多いです。ネットトラブルで、法律で対処できる範囲にあるものは少ないんです。ただ、ネットトラブルに遭ったら、悩んでいるより早めに相談していただいた方がいいですね。できることがあったとしても、ログの保存期間などもあって一定の時間が経つと対応できなくなってしまうこともあるからです」 ――トラブルの内容は、ネットやSNSの普及によって以前と変化はありますか? 「『名誉毀損』に基づいて開示請求をすることが多いのですが、最近は『名誉感情』が侵害されたとして開示請求しようという案件が増えたかもしれないです。以前は名誉感情侵害での開示はなかなか認められなかったのですが、最近は認められている例も多いです」 ――“感情”に着目するようになったのですね。“名誉毀損”については、保田弁護士が「日本では名誉の価値が低いため、裁判を起こしても高い賠償金を取れるわけではない」と説明していました。誹謗中傷などのネットトラブルが増加する中で、その辺りに変化はあるのでしょうか? 「残念ながら、名誉に対する価値は低く、賠償額も低いままです。賠償金額は裁判所の認定によります。裁判例は積み重ねられるものなので、裁判官は他の同じような事例でどれくらいの認定をしているのかを見ます。そうすると“横にならえ”で決められてしまい、金額が上がりにくいというところがあります」 ――今や、いつ誰がどんなトラブルに巻き込まれるかわからない状況ですよね。ネットを使う私たちが、そこを変えていくためにできることはありますか? 「『その賠償額はおかしい』『賠償金はもっと高く認定する必要があるんじゃないか』といった意見が世の中から出てくれば、変わる可能性はあるとは思います」