「テラスハウス」木村花さんの件も担当する弁護士に学ぶ、ネットトラブル対処法
ネットトラブルを回避するための方法
――誰もがインターネットを利用する今、自分も被害者になるかもしれないし、軽い気持ちでやったことで加害者になってしまうかもしれません。ネットトラブルを避けるため、心がけるべきことはどんなことですか? 「相手を尊重することだと思います。例えば、オリンピック開催中には、SNSで負けた選手に対する『金メダルが取れなかったから死ね』などの中傷コメントが問題になっていました。金メダルが取れなくて一番悔しいのは選手本人であって、中傷した人には全く影響はないですし、自分の不満のはけ口にしているだけです。選手が頑張ったことを尊重していれば、そんな言葉は出てこないでしょう」 ――本人的には誹謗中傷しているつもりはなく「自分は正しいことを言っている」と思っている人や、自分本位の正義感を振りかざす人もいますよね。 「ネット上でケンカしている人たちは、“自分の主張が正しい”という前提でしか話をしてないですよね。相手の主張を受け入れたり、『そういう考え方もありますね』と許容したり、ということがないんです。みんなが相手を尊重して許容していく気持ちを持たない限り、中傷の問題はなかなかなくならないのではないかと思います」 ――ドラマでも描かれていましたが、ネットトラブルに巻き込まれそうになった時は一度ネットから離れるというのも、ひとつの解決策になりそうですね。 「精神を病むぐらいなら見ない方がいい。ネットの世界では悪印象を持つ言葉の方が吸引力が強く、非常に目につくんです。100個のうち1つでも悪い言葉を見てしまうと、気になってしまう。ネットは匿名だから悪意のあることを書きやすいけれど、現実で面と向かって悪いことを言ってくる人は、基本的にいないですよね。だから、わざわざ自分が傷つくような環境に行かないで、いったん離れるのも一つの方法でしょう」
【プロフィール】 清水陽平(しみず・ようへい) 東京弁護士会所属 弁護士。2010年11月「法律事務所アルシエン」開設。得意分野は、ネット中傷の削除・発信者情報開示請求、損害賠償請求・刑事告訴、ネット炎上対応、ストーカー対応など。インターネットの誹謗中傷に詳しい弁護士として多くのメディアに出演、著書も多数。漫画「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」(白泉社)、ドラマ「しょせん他人事ですから ~とある弁護士の本音の仕事~」(テレ東)の監修も手掛ける。