荻原博子「今の高齢者は投資教育を受けていない。<新NISA>が始まろうとも言いなりで手を出すのは危険」萩原博子×樋口恵子対談
老後の気がかりはあれこれ尽きぬもの。そんななかで「どう機嫌よく生きるか」を説いた新刊『老いの上機嫌』が話題の樋口恵子さん。お金の不安を和らげる発信を続けている荻原博子さんと、人生後半を機嫌よく生きるコツについて語り合いました(構成:篠藤ゆり 撮影:宮崎貢司) 【写真】「私たちは死ぬまで納税者だから、国がどうお金を使うかに意見を言うのは当たり前」と話す樋口さん * * * * * * * ◆挫折も苦労も財産にして 樋口 ところで荻原さんは、何がきっかけで経済に関するお仕事を始められたんですか? 荻原 祖母が母子家庭で育ったので、母は家を支えるために師範学校に行って教師になって。当時、女性がずっと働ける職業は限られていて、教師くらいしかなかったんです。 樋口 お母さまは結婚してからもお仕事を続けられたのね。 荻原 はい。だから、女性が働くのは当たり前という家風でした。本当はシナリオライターになりたかったけど、夢みたいなことを言っているより、まずは経済的に自立しなければと思って。経済評論家の先生の事務所で働くようになり、「どんなことでもやりま~す」と宣言して、振られる仕事はすべてやりました。 じつはルポライターを目指した時期もあるんです。旧満洲から引き揚げた方のお話をうかがって本にしました。でも、自分には重い事実を受け止める胆力がないと思い知らされ、続けるのを断念したんです。 樋口 私は30歳そこそこで亭主に死なれ、4歳の娘をなんとか育てなければと、必死で仕事をしました。女性の就労差別が当たり前の時代でしたし、女性はなんと大きなリスクを背負っているんだろうと痛感。その経験が女性問題に目覚めるきっかけになり、今に至るわけです。 荻原 挫折や苦労も、なにかしら財産になりますよね。 樋口 おっしゃる通り! 私も、「若くして亭主に死なれちゃって、かわいそうだよなぁ」なんて憐憫の情でみんなが許してくれて、ここまで甘やかされてきた次第です(笑)。まあ、必死にやってきましたけれど。
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