荻原博子「今の高齢者は投資教育を受けていない。<新NISA>が始まろうとも言いなりで手を出すのは危険」萩原博子×樋口恵子対談
◆損する話に気をつけて。投資教育は必要 荻原 樋口さんに初めてお会いしたのは1996年。ある雑誌での対談でしたね。 樋口 わっ、もう28年も前! 萩原 住宅金融専門会社の不良債権処理のために、6850億円の公的資金の投入が国会で審議された。私たち、怒りながら語り合いました。 樋口 荻原さんは忌憚なく政府を批判するし、しかも、わかりやすい言葉で説明してくださるので、いい経済評論家が出てきたなと心強く思いました。 荻原 ありがとうございます。そもそも私の仕事の原点は、祖父母の人生にあります。祖父母は人生で2回、破綻を経験していて。1回目は1930年の昭和恐慌で銀行が倒産し、爪に火を灯すようにして貯めた全財産を失った。もう銀行は信じられない、国の事業なら大丈夫だろうと、今度は満鉄(南満洲鉄道)の株を買ったんです。 樋口 ありゃ~。 荻原 祖父は96歳で亡くなりましたが、死ぬ間際に「俺にはすごい財産があるので、喧嘩にならないように」と言い残して。没後、祖父が大事にしていたをあけたら、山のように満鉄の株券が……。 樋口 キャッ!
荻原 戦争に翻弄されたうえに、祖父の全財産が紙くずになった。それを見たうちの父は、国は信じられない、と。その精神が叩き込まれたんでしょうね。 樋口 だまされないよう、しっかり見ていなければ、と思われたのね。 荻原 はい。住専の問題について樋口さんは、「つつましく暮らしている私たちの懐に手を突っ込んでお金を持っていくのが許せない」とおっしゃいました。 樋口 そういう政府のやり方は今も変わらない。格差はむしろひどくなり、私たちの税金の使い道も納得できない。 荻原 今は老人からも取ろうとしています。投資に誘い込んで。 樋口 貯金を引っ張り出したいんでしょうね。 荻原 でも、今の高齢者は投資教育を受けていません。今年は「新NISA」なども始まりましたが、言いなりで手を出すのは危険です。 樋口 そうやって情報を発信してくださる方がいるのは、とてもよいことだと思っています。やはり経済は大事ですから。とくに女性は男性より平均寿命が長いので、きちんと専門家の意見に耳を傾けて、損する話には引っかからないようにしないと。 そして、私たちは死ぬまで納税者ですから、国がどうお金を使うかに意見を言うのは当たり前のことなんです。
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