「シカだけに仕方ない」125ccタイトル目前に時速170キロで鹿と激突、「5人目の日本人王者」の称号を逃した東雅雄のその後の人生
会社員になるという決断
高知県出身。地元の高校を卒業してマツダのディーラーに2年間勤めたが、20歳のときに会社をやめてレースキャリアをスタートさせる。そして全日本ロード125ccクラス参戦3年目の96年にチャンピオンを獲得し、翌97年、26歳で世界デビューを果たし、7年間世界を転戦した。 「他のライダーたちとはちょっとキャリアが違うし、レースを始めてから引退するまで12年と短かかったけれど、充実していたと思います。悔いがないかと言われれば、もちろん言い始めるとキリがないほどありますけどね(笑)。レースを引退して会社員になるという決断も悪くなかったと思ってます」 現在53歳になった東は、ブリヂストンの社員として国内の2輪モータースポーツを中心にタイヤの開発に従事している。入社は引退の翌年で、元GPライダーというキャリアがあっただけに当時は話題となった。だが、それから20年が過ぎたいま、東がタイトルに手をかけたライダーだったこと、そして衝撃的な事故のことを知る若手社員はほとんどいないという。 久々に話を聞いて、そんなものかと驚く僕に、「これが世界チャンピオンになっていれば、また違っていたのかもしれないですけどね」と東は笑った。
(「モーターサイクル・レース・ダイアリーズ」遠藤智 = 文)
【関連記事】
- 【この記事の写真】男前で知られた現役時代の東のホンダ通算498勝目、大治郎の499勝目、ロッシの500勝目! 現役最終レース後の東の晴れやかな表情、ブリヂストン社員の東さん…
- 【レジェンド】MotoGP史に今も輝く加藤大治郎。 ロッシをも恐れさせた永遠の天才。
- 【ライダーのお金にまつわる伝説】18歳ノリックは「お父さんと相談してから来てね」とポルシェを買えず…
- 【インタビュー】Moto2小椋藍、来季アプリリアでMotoGP参戦決定…Moto2タイトルにこだわった23歳が明かす決断の理由「ホンダ、Moto2とで悩んだけれど…」
- 【インタビュー】中上貴晶「ダメ出しもしたが感謝しかない」いま振り返るホンダへの思い