生活水準は東京都心と同レベル? 専門家に聞く、タイとシンガポールの移住事情 ~後編:気になる生活費とおすすめの投資~
――タイで日本人が住んでいるエリアはどこですか? バンコクが圧倒的に多く、バンコクでも日本人を含む外国人の富裕層は、スクンビッドエリアに集中して住んでいることが多いです。 特にファミリーは、アソーク・プロンポンからトンロー間のサミティベート病院近辺に住んでいる方が多いですね。スクンビット道路は北側が奇数、南側が偶数で、日本人学校のバスが周回する都合上、駐在ファミリーは奇数側に集中しています。インターナショナルスクールに通わせているご家庭の場合は特にこだわりはないと思います。 バンコクなら東京都心と大きく変わらない生活ができます。朝ゴルフに行って午後にはバンコクで仕事ができるので、ゴルフは東京よりもしやすく、そういった意味では日本より豊かな生活ができるのではないでしょうか。旅行の際も、LCCを含めた多数の航空会社のハブになっているバンコクを起点にさまざまな場所に気軽に行くことができます。 バンコク以外では、最近はビーチリゾートとして知られるパタヤやプーケットに住む人も増えています。個人的には、日本人学校があって、和食の店やゴルフ場も多く、バンコクにもパタヤにも近いシラチャーも移住先としておすすめです。 ■■シンガポール・タイの不動産投資の将来性は? ――移住を検討する人の中には現地の不動産への投資を考える方もいると思います。シンガポールやタイの不動産投資に将来性はあるのでしょうか? シンガポールは物件価格があまりにも高いので、1~2%程度の利回りしか期待できないでしょう。コロナ前後のように短期間で大幅な家賃上昇が起きることもありますが、すでに家賃相場が諸外国と比較しても高いので、今後の値上がりを見越してシンガポールの不動産に投資するのはおすすめできません。 タイに関してもディベロッパーによって建て方が異なりますし、管理がしっかりしていない物件も多いので、購入よりも賃貸が無難です。 その国の事情をよほどよく知らないと特定の物件に投資するのはリスクが高いので、不動産に投資したいならREITを購入したほうが良いのではないでしょうか。特定の物件が気に入って住むために買うなら別ですが「投資」という観点からすると、個人的にはシンガポールやタイの不動産に投資をするよりも、長期で見た場合の利回り実績も良いS&P500連動型のETFなどに投資したほうが、即座に現金化できる点からも不動産投資より優れていると思います。 ――シンガポール・タイ移住のトレンドは今後どうなっていくでしょうか? 石破政権でも富裕層に対する増税路線は変わらないでしょうから、海外移住トレンドは今後も続くと考えます。 移住先として人気が高いのは、やはり日本との時差が少ない国です。その中でも、長期滞在ビザの取得がしやすく、政治的リスクが低い国は限られてきます。シンガポールとタイはこれらの条件にあてはまるので、今後も両国の優位性は継続するのではないでしょうか。
春奈