生活水準は東京都心と同レベル? 専門家に聞く、タイとシンガポールの移住事情 ~後編:気になる生活費とおすすめの投資~
日本と距離が近く、時差の少ない移住先として注目が集まっているのが、シンガポールとタイ。富裕層・高所得層の移住の多くは節税目的だというが、シンガポール・タイ移住のメリットやハードルは? 東南アジアの移住事情に詳しい、シンガポール在住公認会計士・税理士の相川聡志氏に聞いた。 後編では、「実際にどんな地域に日本人移住者が住んでいるのか? その家賃は?」「2ヵ国の海外不動産としての可能性は?」という点についてインタビュー。気になる東南アジアの生活費と、現役の会計士がおすすめする投資方法もご紹介。
■■シンガポール生活は家賃と学費だけで年間2,300万円!? ――シンガポールに移住した日本人はどこに住んでいる人が多いのでしょうか? シンガポールを代表するショッピングエリアである、オーチャードロードからリバーバレーにかけてのエリアに住んでいる方が多いです。ただ、近年はオーチャードロード周辺の家賃が急激に上がっているので、日本人駐在者は減っており、富裕層や高所得層が残っています。 日本人は少数ですが、セントーサ島にも富裕層が多いですね。 ――シンガポールに住んだ場合、生活費は日本と比べてどう変わるのでしょうか? 最大の支出は家賃と教育費です。中心部で子どもを2人抱えて暮らすとなると、150平米ほどの物件で家賃が月110万円程度かかります。150平米というと「広い」と感じるかもしれませんが、一部屋が日本よりも大きいので、子ども2人と暮らせる部屋数を確保しようとすると、必然的にそのくらいの広さになってくるのです。 また、インターナショナルスクールの学費が年間500万円ほどなので、家賃と子ども2人分の学費だけで年間約2,300万円かかる計算になります。学費だけでなく、バス代や習い事の費用なども高いので、シンガポール生活は教育にはとにかくお金がかかりますね。 外食費も日本よりは高く、居酒屋のようなカジュアルなお店でも1人2万円は下りません。だいたい日本の1.5~2倍くらいのイメージでしょうか。和食の場合は日本の3倍くらいかかることもあります。 車を持つのも非常にお金がかかります。車の台数を制限しているので、車を持つ権利を得るにも700万円ほどの費用がかかり、車を保有するための全部の費用を合わせると日本の5倍~7倍します。 ――特に家賃や教育関連のコストが高いようですが、それでも税金を考えるとシンガポールに住んだほうが良い暮らしができるということでしょうか? そうですね。税金を考慮すると日本よりもプラスになるのでシンガポールに住んでいるという方が多いです。 ■■家賃が安く、生活の質も高いタイ ――タイの場合、シンガポールよりも生活費が抑えられるのでしょうか? バンコク中心部で150平米の物件を借りた場合、月の家賃は30万円程度なので、家賃はシンガポールよりも圧倒的に安いです。 ただ、インターナショナルスクールはシンガポールの80%程度で年間約400万円が相場です。日本のハイクラスなインターナショナルスクールと同じくらいでしょうか。 とはいえ、日本のインターナショナルスクールは教室も校庭も狭く、施設の質があまり高くない、日本人が多いので英語力が伸びにくいといった難点があります。タイのインターナショナルスクールは文字通り多国籍なので、インターナショナルスクールの質は日本よりもタイのほうが高いといえるでしょう。 その他の支出はライフスタイル次第ですが、外食をする場合、和食なら日本と同じくらい。ローカルフードはもちろん安く、屋台なら一食150円前後です。