泥沼開幕4連敗…鹿島アントラーズはなぜ勝てない?
ザーゴ新監督のもと、黎明期からの伝統だった堅守速攻型から、ボールポゼッションを高めて主導権を握るスタイルへの転換が図られている。しかし、キャンプからチーム内に生じた混乱や戸惑いが長期中断から明けたいまも消えず、対戦相手に与える怖さが影を潜める悪循環を招いている。 苦難のシーズンになることは半ば織り込み済みだった。新体制下での初陣となる、メルボルン・ビクトリーFCとのACLプレーオフが1月28日に組まれていたなかで、ヴィッセル神戸に苦杯をなめさせられた今年元日の天皇杯決勝を戦った主力選手たちに、あえて2週間のオフを取らせた。 今シーズンの所属選手がすべて顔を合わせたのは、宮崎県内でのキャンプが終盤に差しかかった1月16日だった。昨シーズンまでの主力と新たに加入した11人の融合が遅れ、ザーゴ監督が掲げる戦術の落とし込みも不十分なままで公式戦の初陣を迎える意図を、1996年から強化の最高責任者を務める、アントラーズの鈴木満取締役フットボールダイレクターはこう語っていた。 「一番恐れているのが、ずっと主力で出場してきた選手たちの気持ちが燃え尽き症候群気味というか、なかなか高ぶってこないような状態になりかけていること。もう何年もこういう状況が続いていると、どこかでしわ寄せがくるし、だからこそ休ませなきゃいけないとずっと考えていた」 長丁場のシーズンを何とかやり繰りして戦いながら、新生アントラーズに常勝軍団の歴史を紡がせていく青写真を描いていたからか。鈴木ダイレクターは「今年はちょっと覚悟しなきゃいけない」と前置きした上で、1月の段階でこんな見通しを明らかにしていた。 「最初から(順調に)というのは難しいというか、今年はチームをゆっくりと、少しずつ作りあげていって、秋口から勝負をかけられる感じになればいいかな、と思っている」 もちろん名門のプライドにかけて、常に勝つための準備をして臨む。それでもメルボルン・ビクトリー戦、名古屋グランパスとのYBCルヴァンカップ、そしてサンフレッチェ広島とのJ1開幕戦を3連敗で、しかもすべて無得点で終えたことは、ある意味で覚悟していた結果でもあった。