客入れ再開のJ1で川崎Fの家長が魅せた「2分間2ゴール」は2年ぶりの得点だった…34歳のFWを支える哲学とは?
レジェンドの中村憲剛も、得点王経験者の小林悠も、ファン・サポーターの観戦が解禁されたホームの等々力陸上競技場のピッチにはいない。それでも、2シーズンぶりの覇権奪回を目指す川崎フロンターレには、けがで戦列を離れている2人を補ってあまりある存在感を放った家長昭博がいた。 柏レイソルを3-1で撃破した11日の明治安田生命J1リーグ第4節。ともに無得点で迎えた前半40分に頭で先制点を、わずか2分後には利き足とは逆の右足で追加点を叩き込んだ家長の活躍がフロンターレを再開後の3連勝に、そして試合のなかったセレッソ大阪を抜いての暫定首位に導いた。 指笛や手拍子、タオルマフラーや旗を振る行為、メガホンや太鼓などの鳴り物の使用、そしてハイタッチや肩組みなど従来の応援方法が禁止されたなかで、スタンドに駆けつけた4724人のファン・サポーターが一体となった拍手を誘った家長の先制点はセットプレーから生まれた。 MF脇坂泰斗が放った右コーナーキック。ニアサイドでDF車屋紳太郎と競ったレイソルのFW江坂任の頭をかすめてコースを変えたボールは、マークする相手選手が誰もいないファーサイドで待ち構えていた家長の目の前へ。叩きつけるようなヘディング弾が、豪快にネットを揺らした。 「ゴールに入れるだけだったので、ラッキーだったと思います」 思わず謙遜した家長が2分後に決めた追加点は、今シーズンのテーマとして掲げている、攻守両面において激しく前へ行く姿勢から生み出されたものだった。相手ペナルティーエリア付近でパスを受けたレイソルのセンターバック、鎌田次郎との間合いを詰めた家長が連続するプレスを呼び込んだ。 鎌田からパスを受けた右サイドバックの北爪健吾に、すかさずFW長谷川竜也がプレスをかけてパスのコースを限定する。予想通り前方にいたMF瀬川祐輔へパスを出した刹那に、狙いを定めて飛び出してきた左サイドバックの登里享平がカット。そのままボールをゴール前へいた家長へ預ける。