泥沼開幕4連敗…鹿島アントラーズはなぜ勝てない?
しかし、直後に新型コロナウイルスによってもたらされた活動自粛期間が、それまでの積み重ねをゼロベースへ逆戻りさせた。全体練習を再開させた5月28日以降も、選手間のコンビネーションより戦術の浸透に費やされたのだろう。川崎フロンターレとの再開初戦をオウンゴールで一矢を報いるだけの1-2で落とすと、北海道コンサドーレ札幌、そしてレッズに続けて零封負けを喫した。 開幕戦から先発させてきたMFレオ・シルバ、新加入のFWエヴェラウドのブラジルコンビを、レッズ戦では前者をリザーブに回し、後者をMF土居聖真とともにベンチ入りメンバーからも外した。 「コンディションの問題ではない。得点できない流れに対して、何かを変えなければいけなかった」 先発メンバーの一部変更を、現状を打破するためのてこ入れ策だったとザーゴ監督はオンライン会見のなかで明かしている。同時に「就任時から目指してきたサッカーを、ピッチの上で具現化できているのか」とチームの現状に対する疑問を呈する、核心を突くかのような問いに対して、正論に聞こえるようで、その実はさじを投げているかのようにも感じられる言葉を紡いでいる。 「強い相手に対してこれだけ試合を支配できた点で表現できていると思うが、(相手ゴールに近い)最後の3分の1のエリアでは選手たちの決断力が問われてくる。シュートを打つのか、あるいはパスを出すのかを私が細かく言うことは、そこまで選手たちに強制することはできない」 2012シーズンは第4節の引き分けをはさんでさらに黒星を重ね、迎えた6試合目のFC東京戦で初勝利をあげた。この試合で後半アディショナルタイムに決勝点をあげている、アントラーズ生え抜きのMF遠藤康は「もちろん負けたことは悔しいけど……」と必死に前を向いた。 「開幕3連敗やら4連敗やらをみんなも聞いていて、勝たなきゃという思いで試合に臨んで、多分それがマイナスの方向に行ったんじゃないか、と。練習では最後の3分の1のところでもみんな落ち着いてプレーしているのに、実際に試合になると、前半は特に慌てていたのかなとベンチで見ていました」