JOC山下泰裕会長が会見(全文1)各国選手団の84%が接種し始めている
1つもクラスターは発生していない
司会:(英語) 山下:今お話がありましたように、これまでのオリンピックと今回の東京2020大会は大きく形を変えるというふうに思っております。まず非常に大会が簡素化されます。それからもう1つ。これは大会に参加するアスリートや関係者だけではなく、東京都民あるいは日本国民の安心・安全の確保、これはもう大前提です。ですから今後も状況が変わっていったときには、そこに対しては柔軟に対応していく必要があろうかと思っています。 大会が1年延期になったあと、当初は同じ施設、選手村と競技会場等をなんとか1年後に使えるように、そしてそのあとは非常にコストが、膨大な追加費用が掛かる、そのコストを削減するという方向で努力してきました。昨年の9月ぐらいからは本格的に、全ての方々にとって安心・安全を確保しながらどうやって大会を開催していくかということで準備を進めてきました。ですから日本国民の皆さんが非常に不安を持っておられるところは、やはりまず1つは、これまで十分な情報を国民の皆さまに提示できなかった、そのこともあると、こういうふうに思っております。一方、この1年間で世界選手権やワールドカップ等、大会というのは世界中で450ぐらい開催されております。1つもクラスターは発生していません。そしてASOIF、夏季オリンピックですね。IFの集まりのところからは、われわれにはこれだけの実績があると、経験があると。こういった経験というのも東京2020大会、ぜひ生かしてほしい、そういう話も来ております。
コロナ禍で世界が分断されている
それから、やはりコロナを収束させていくためにはワクチン接種というのが非常に重要であるというのは多くの方が認識されていると思います。先ほどもお話ししましたように日本に来る大会関係者、少なくとも日本選手団、関係者は、今の時点で84%がワクチンを接種している。海外から日本に来られるマスコミの方々のワクチン接種も非常に高いというふうに聞いております。ただ、まだまだ、外国の観客は来なくても日本の観客どうするのか、あるいは夜の遅い時間のときに観客を入れるのか。終わったあと、日本選手とかが活躍すると感激して盛り上がりたくなる、そういうところをどうするのか。これからまだまだ、安心・安全の確保のためには進めていかなければいけないことが多々あると思っております。 それから、われわれがいろいろと準備してきた本大会のレガシーというものは状況が大きく変わってしまいました。しかし今、このコロナ禍の状況の中で世界が非常に分断されてきております。自分さえ良ければいい、自分の国さえ良ければいい、自分の組織さえ良ければいい、そんな形が、いろんなところでその弊害が出てきていると、こういうふうに言えると思うんですけど。やはりこのコロナ禍の状況の中で世界中のアスリートが集い、そしてそこにはさまざまな国境、人種、宗教等々、違いがあるんです。そういったものを乗り越えて集い、そして大会が開催され、世界のさまざまな国の選手たちが活躍することは、コロナで苦しんでいる国の方々に、先ほどもお話ししましたとおり、やはり希望あるいは明るい話題提供、そういう光になれる、そういうふうになると思っております。ですから最後まで安心・安全を大前提として大会が開催できるように準備してまいりたいと思っています。よろしいでしょうか。