「小さいうちからこういう子が地域にいることを知ってほしい」――障がいのある子も安心して遊べる「インクルーシブ公園」の意義と、保護者の思い #こどもをまもる
「障がいを持つ子どもと持たない子どもは、通う学校から違っていて身近にお互いを知り合う機会を持てないまま育つ子たちがたくさんいます。その子たちが大人になって初めて出会うとどう接すればいいのか戸惑ってしまうことになります。だから公園で遊んでお互いの存在を知るというのは、すごくよいコミュニケーションの入り方なのかなあと思います。大人が計算してできるものではない、自然な形なので」 インクルーシブな遊具の開発は、形状はもちろん、カラーリングにも配慮が要求される。 「たとえば色弱(色覚多様性)や神経過敏の子どもへの配慮です。注意が必要な段差は視認性の高い黄色を使い、シルバーのような光る色合いは感覚が過敏な子には痛みとして伝わってしまうので、落ち着いたブラウンを使う。コントラストも重要で、緑の中に赤色があると色弱の子には茶色に見えてしまうので、色弱の方でも本来の色と同じように認識しやすい青色を基調とするなどの工夫が必要です」 公園に行くとカラフルな遊具が置いてあるが、あれは決して見栄えだけの問題ではないのである。
遊具は、ブランコのように既存の遊具を障がいを持つ子でも使いやすく工夫したものもあれば、コトブキ考案のオリジナルもある。「モーグルヒル」は人気作のひとつ。一見、「幅が広い滑り台」のようだが、斜面には「こぶ(モーグル)」がついていて、それを頼りに上り下りできるようになっている。アイデアの元は「河川敷の土手」だった。 「ただただ広い土手って楽しいじゃないですか。そこを駆け下りたり上ったりする原体験を遊具でできないか。滑り台で上るのは禁止になっていますが、そういう経験がないまま大人になるのはつまらないなと思いました」
障がい児が夢中になって遊ぶ姿に気づき
遊具は試作品を作ると、工場などに設置して障がいのある子どもだけでなく、ない子にも遊んでもらって、意見を聞く。それを反映してまた試作品を作る。試作品をもって全国の公園を回るキャラバンも実行する。営業本部の福田英右さんによると、 「公園の広さや季節を考えて、我々から自治体に声をかけてお邪魔しています。今まで東京、大阪、名古屋、福岡などで実施しました。期間は1週間から10日ぐらい。遊び方はあまり説明しないで、好きに遊んでいるところを見せてもらい、利用者からヒアリングします。多いときだと土日で2000人ぐらいの方にご利用いただきました」