<高校野球>健大高崎は“暗黙のルール” を破ったのか
■日本の甲子園には通用しない“暗黙のルール” 盗塁はベンチからのサインではなく、青柳監督は「盗塁は選手の感性にまかせている。基本的にサインは、行けたら行けです」と説明する。いわゆる「グリーンライト」と呼ばれているサイン。脇本の言葉を借りれば、「塁に出たら走る、次の塁を取るという意識をみんなが持っている」というから、そんな高校生にプロの世界の“暗黙のルール”を押し付けることは、彼らの努力や哲学を否定することにもなる。いつのまにかメジャーから上陸してきた“暗黙のルール”は「汗と涙の結晶」という日本独特の文化の上に成り立っている甲子園の大会には通用しないのである。 ただこういう問題提起は素直に受け止めて高校野球の指導者は悩むべきだと思う。筆者の好きなアメリカのコラムニスト、ピート・ハミルは、「勝利がすべてではない。人は負けながらも勝つことができる。スポーツのおける競争で大切なのは、人間を形成することである」と書いた。その哲学に照らし合わせて考えてみる作業は必要なのだと思う。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)