総合経済対策「物価高克服、経済再生のため」岸田首相会見10月28日(全文1)
岸田文雄首相は28日、官邸で記者会見を行った。 ◇ ◇ 【動画】総合経済対策、約29兆円に 岸田首相が会見(2022年10月28日)
暮らし、雇用、事業を守るとともに、経済を強くしていく
司会:ただ今より岸田内閣総理大臣の記者会見を行います。初めに岸田総理から発言がございます。それでは総理、よろしくお願いいたします。 岸田:はい。本日は経済対策についてお話をいたします。3月、4月、7月、そして9月の対策に引き続き、先ほど大型の総合経済対策を閣議決定いたしました。今回の対策は物価高克服、経済再生実現のための総合経済対策です。物価対策と景気対策を一体として行い、国民の暮らし、雇用、事業を守るとともに、未来に向けて経済を強くしていきます。 今回の対策は財政支出39兆円、事業規模で約72兆円。これによりGDPを4.6%押し上げます。また、電気代の2割引き下げやガソリン価格の抑制などにより、来年にかけて消費者物価を1.2%以上引き下げていきます。物価対策として重点を置いたのはエネルギー価格対策です。もろもろの物価高騰の一番の原因となっているガソリン、灯油、電力、ガスに集中的な激変緩和措置を講じることで、欧米のように10%ものインフレ状態にならないように、皆さんの生活を守ります。
全国旅行支援は4人家族で1泊当たり4.4万円の割引に
まず、物価高から生活を守ります。家庭の電気代について、1月から来年度初頭に想定される平均的な料金引き上げ額、約2割分を国において負担をいたします。事業者に対しては再エネ賦課金に見合う額を国において負担する措置を講じます。ガス料金についても同等の措置を行います。また、現在1リットル当たり30円引きとなっているガソリン価格の引き下げを来年も継続いたします。これらにより総額6兆円、平均的な1家庭で来年前半に総額4万5000円の支援となります。 危機的な少子化の流れの中で子育て世帯を応援するため、妊娠時から出産・子育てまで一貫した伴走型相談支援と10万円相当の経済的支援を組み合わせたパッケージを創設します。来年4月から出産育児一時金の大幅な増額を行います。子ども食堂や子供の居場所づくりなど、経済的な困難に直面する子育て世帯への支援も強化します。園児バス置き去り事故を受け、痛ましい事故が二度と起こらないよう、来年の夏に向け安全装置を義務化し、国が標準的な装置を全額負担する支援制度を設けます。 コロナ禍で縮んだ旅行、宿泊、エンタメ等の消費を取り戻します。全国旅行支援は4人家族で1泊当たり4.4万円の割引となり、イベント割で映画館、テーマパークは2割引となります。コロナの影響を大きく受けた演劇、コンサートの開催費用を支援します。観光資源を高品質化し、観光収入が上がるよう、客室改装などソフト・ハード両面で強力に支援をいたします。こうした稼ぐ力を強化することで、地方も元気になります。 そして、物価高から中小企業を守ります。下請けいじめを撲滅し、適正な価格転嫁を実現してまいります。コロナで傷んだ中小企業に新たな100%保証の借換制度を用意するとともに、新規輸出に挑戦する中小企業1万社を支援いたします。 以上の物価への総合的対応とともに、最優先すべきは物価上昇に合わせた賃上げです。来年春闘が成長と分配の好循環に入れるかどうかの天王山です。構造的賃上げの実現に向けた第一歩として、物価上昇に負けない賃上げが行われるよう、経団連、連合を巻き込んだガイドライン作りなど、労使の機運醸成に全力を挙げてまいります。政府も賃上げ実施企業に対する補助金や公共調達の優遇を行うとともに、物価上昇をしっかり組み込む形で最低賃金を引き上げてまいります。