総合経済対策「物価高克服、経済再生のため」岸田首相会見10月28日(全文1)
NISA・iDeCo拡充で、資産運用収入の倍増目指す
さらに持続的な賃上げに向けて、賃上げ、労働移動、人への投資の一体改革を進めていきます。このため新しい資本主義の第1の柱である「人への投資」を抜本強化し、5年1兆円の大型のパッケージにより、正規化、転職、リスキリング、すなわち成長分野に移動するための学び直しを支援いたします。同時にNISA・iDeCoを拡充し、資産運用収入の倍増を目指します。 物価高を抑えながら、円安のメリットも上手に生かしていきます。ウィズコロナの時代に合わせた質の高いインバウンド需要、5兆円を早期に達成します。半導体、蓄電池など、攻めの国内投資を拡大して、最先端製造立国日本を取り戻します。農産物についても年間2兆円を目指し、農産物の輸出促進を図ります。 攻めの国内投資の代表例として半導体があります。国内投資の好機と捉えてサプライチェーンを強靱化します。熊本のTSMC誘致は10年で4兆円、7000人の雇用増の地元経済効果があるとされます。月給も5万円の上昇になります。さらに日米共同による次世代半導体開発など、1.3兆円を措置して半導体の国内投資を全国展開します。地域と経済を抜本的に強くするために、重点4分野、スタートアップ、イノベーション、デジタルトランスフォーメーション、グリーントランスフォーメーションに総額6兆円と、前例のない支援措置を講じます。
ロボットなど民間投資を誘発する次世代分野に約3兆円投じる
来年に向けて世界経済が大きく減速する中で、日本の金融環境、ドル建てコストの割安感を逆手に取って成長のチャンスとしていきます。スタートアップ5カ年計画をスタートし、1兆円を投入して、人材育成、資金供給の強化を行います。特に次世代分野での攻めの大型民間投資を呼び起こします。今回措置する中で、先端半導体、電池、ロボットなど、民間投資を誘発する次世代分野に約3兆円を投じます。この支援によって9兆円以上の生産誘発効果、2兆円以上の輸出増効果、約49万人の雇用者増をもたらす次世代大型投資を誘導します。地域に関連産業、人材育成などを一体化した産業プラットフォームをつくってまいります。 以上、政府・与党で本日決定した総合経済対策のポイントを説明しました。今回の取りまとめに当たっては、政治主導の大局観を発揮することを重視しました。与党の政策審議プロセスを例年より早く動かし、電気料金の激変緩和措置の大枠は与党党首で決め、詳細を役所に詰めさせました。野党の提案についても、参考とすべきものは直接お伺いする機会をつくりました。 核兵器の威嚇が行われるなど、ウクライナ情勢は緊迫の度を加えています。世界は歴史上初めて真のエネルギー危機に直面している、こう見る専門家もいます。現時点で見通しがたい世界規模の経済下振れリスクに備え、トップダウンで万全の対応を図ることといたしました。 今後はこの経済対策をできるだけ早くお手元にお届けするよう、補正予算の編成を急ぎます。また、ご用意した政策を国民の皆さんに徹底的にご活用いただけるよう、発信と広報に全力を挙げてまいります。国民の皆さんのご理解とご協力を心からお願い申し上げます。 司会:それでは、これから皆さまよりご質問いただきます。指名を受けられました方はお近くのスタンドマイクにお進みいただきまして、社名とお名前を明らかにしていただいた上で、1人1問ご質問をお願いいたします。本日はこのあと総理の外交日程がございますので、6時50分前には会見を終了する必要がございます。ご協力お願いいたします。 それでは、まず幹事社からご質問をいただきます。産経新聞、田村さん、どうぞ。