なぜ那須川天心はボクサー仕様に進化し45連勝を果たせたのか…注目のK-1武尊戦は「(交渉)テーブルについていない」
その結果の判定決着。 「賛否があっていい。ダメージがなく相手のいいところ、光を消すのも技術。6年前みたいに(鈴木が)どんどんくれば、そこに合わせて3ラウンド以内で仕留められる。待ちで合わせてくるなら長くなる。相手も対策を練って出ないで待ってカウンターをあわせてきた」 ただ、残り2試合は、まだキックボクサーである以上、ボクサー天心への変貌を進めることのマイナス要素もある。 ――過度のボクシング練習はキックに悪影響を及ぼすのでは?との疑問をぶつけると、天心は「どうですかね。影響は多少意識はするが、両方をしっかりと取り入れることが大事」と答え、残り2試合となったキックボクサー那須川天心のカウントダウンに向けて「もっと蹴って作り込んでいかないと。ただ今回は色々なことを試すことができて引き出しを見せることができた。それを糧に、プラス、プラスでやっていく」と、再修正に取り組む考えを明かした。 いよいよカウントダウンが始まり、気になるのは、今なお正式なアナウンスのない武尊とのビッグマッチの行方だ。 伊藤代表は、「現状はテーブルについていない状況。間接的に聞いている部分はあるが、やるのであれば今度テーブルについて話し合う」と明かし、テーブルにつけない理由については「障害というより、武尊選手がやりたいとは聞いているが、間に(RIZINの)榊原(信行)代表が入っていて、榊原代表を挟んでの会話になっているので進まない状況が続いている」と説明した。 那須川も武尊戦については“静観”の構えだ。 「動きがないので僕もマジで分からない。組まれるのであれば向こうもやりたいだろうし、客観的に見て盛り上がるカード。僕も熱くなれる試合だと思う。全部状況が整えばやりたい。向こうの選手(武尊)が色々と発言をしている。僕が何も言わないからはぐらかしているとか言われるが、わからないのに言ってもファンがガッカリするだけ。決まるまで僕は何も言えない」 武尊戦について沈黙を守ってきた理由を吐露した。 来年3月のRISEでの引退試合まで残された時間は少ないが、「焦りはない」とした上で、こう続けた。 「次の試合は大晦日のRIZIN。お世話になった分、しっかり恩返ししたい。RIZIN引退試合をみんなに見せたいので、そこで(武尊戦が)決まるのであればやるのかなと思う。ほんと何も分かっていない」 天心の気持ちの中では武尊戦が実現するのであれば、大晦日のRIZINのリングだと想定しているようだ。 武尊の怪我さえなければ6月に天心vs武尊が実現する方向で舞台は整えられていた。伊藤代表が明かしたようにオフィシャルな交渉はスタートしていないが、RIZINの榊原CEOらが、水面下では調整に入っているとも言われ、一説では、RIZINとは別の舞台が、年末に用意されているとの話もある。 那須川天心の鬼気迫る戦いには、そのファイトでRISEのキックボクサーに何らかのメッセージを伝えるかのように思える。 「勝ちたいだけでメッセージはない」と謙虚に否定した那須川に「RISEに遺したいものは何か」と問いかけた。 “天心遺産”である。 「(何かを)遺していくことは難しい。他の選手が僕になれるのか。どうなんだろう。それだけのことをやっている自負はある。他に(RISEを)背負う選手がいるかと言えばいない。(僕を)マネすることは100%いいとは言い切れない。オリジナルでクリエイティブな新しいものを自分で考え自分で作っていくことが必要だと思う。そういう意気込みの選手が増えてくればいい」 辛辣だが、“RISE愛”にあふれたメッセージだった。