「被害者も加害者も生まない方法を…」小児性犯罪の実態、当事者たちの思い【報道特集】
そして30代の時、逮捕のきっかけとなる事件を起こす。 加藤孝さん 「ひとりで遊んでいる小学生の男の子に『手伝ってもらいたいことがある』とだまして、男性用のトイレの個室に連れ込んで、わいせつなことをしようとしてガムテープで口を塞ごうとしたり、着衣を脱がそうとしたりした。でも、被害者が嫌がったのでそこまでで止めました。僕はしばらく個室に残っていた。そこで凄く怖くなりました。僕は子どもの命を奪いかねないと」 歯止めがきかない自分が恐ろしくなり、加藤さんは交番に自首。強制わいせつ未遂の罪で懲役2年、保護観察付きの執行猶予4年の有罪判決を受けた。 被害者の傷は消えることはない。 自らが犯した数々の罪と加藤さんはどう向き合ってきたのか… 加藤孝さん 「被害者の人生をひどい形で破壊してしまったと思います。本当に取り返しがつかない傷。しかも、その場だけで傷つくのではなく、長く長く続いてしまう傷を与えてしまって本当に心から申し訳ないことをしたと思っています」 子どもに性的な関心を持つ人は男性で5%、女性では1~3%とする海外のデータがある。 加害行為を繰り返す背景に指摘されているのが、単なる性癖ではなく、精神疾患「小児性愛障害」。ペドフィリアとも呼ばれていて、子どもを性の対象とし、少なくとも半年にわたって空想、性的衝動、または行動が継続するものと考えられている。 「小児性愛障害」と診断された200人以上の治療に取り組んできた精神保健福祉士の斉藤章佳さん。 子どもへの性加害の背景には、自らの行為を正当化する“認知の歪み”があると話す。 精神保健福祉士・社会福祉士 斉藤章佳さん 「こうやって自分に寄って来てくれるんだから、たぶん子どもも僕と性的な接触を望んでいるに違いないとか。子どもと道でばったり出会って、周囲に誰も人がいないときにすぐ頭をよぎったのが『おいしそう』と思ったらしい。こういう風に我々と子どもの見方が全然違う」