「被害者も加害者も生まない方法を…」小児性犯罪の実態、当事者たちの思い【報道特集】
転機は2009年。参加した講演会で、性被害当事者が数百人の前で話す姿に衝撃を受けた。 「子どもの性被害の実態も知ってほしい」 そんな思いが募るようになった。柳谷さんも過去の経験を語り始めた。重い話を暗い顔で話すのではなく、明るく力強い言葉で。 柳谷和美さん(2014年) 「性暴力被害者が顔と名前を出して、『私、被害にあったんです』って言うことが憚られる世の中。そんなことは言ってはいけない。そんなことを言ったら独身の女性であれば『お嫁にいけない』と(言われる)。被害者は被害を受けた上に、二次被害、『私は汚れてしまった』『私は汚い』という感情を持ち続けてしまう」 思い出したくない過去を話すことで、高熱が出て体調を崩す時もある。半世紀の時を経た今も自分が受けた行為のおぞましさは心と体に刻まれている。 ■単なる性癖ではない精神疾患「小児性愛障害」の実態 子どもに性暴力を繰り返すのはどのような人物なのか。かつて何人もの子どもたちに性暴力を繰り返してきたという男性が取材に応じた。 自らの行動を冷静に分析する。 加藤孝さん 「自分は何者かっていうと、小児性愛者。思春期前の男児だったら、それで十分。あとは加害のチャンスがあるかどうか」 都内に住む加藤孝さん(62)。特に思春期前の少年に性的興奮を覚えるという。きっかけは大学生の時。成人男性が少年を性虐待するコミックを初めて読み、自分が求めていたものだと感じたという。 海水浴場で子どもの体を触ったり、家庭教師をしていた20代のときには教え子に性暴力を行ったり。これまで合わせて13人の子どもに性加害を働いた過去がある。 加藤孝さん 「加害を考える相手は、加害をしてしまっても反抗しないだろうと考える相手。加害を加害と思っていない。相手の子も気持ちいいだろうし、別にいいじゃないかと」 加害行為は徐々にエスカレートしていく。カッターナイフとロープ、そしてガムテープを持って下校中の児童の後をつけるように。