「被害者も加害者も生まない方法を…」小児性犯罪の実態、当事者たちの思い【報道特集】
斉藤さんによると、小児性犯罪者が子どもに性加害を始めたときから治療につながるまでの期間は平均14年。逮捕されない限り、本人が病気だと認識しないケースが大半だという。 精神保健福祉士・社会福祉士 斉藤章佳さん 「治療を長く受けている人も含めて、子どもに対する欲求は消えたことがないと(言っている)。治るというよりは、そういう欲求や衝動を持ちながらも、加害をしないようなリスクマネジメントをしっかりして、今日1日、再犯しないということを積み重ねていく」 ■消えない性的衝動 治療の日々 かつて子どもに性加害を繰り返してきた加藤さん。逮捕後、弁護士を通じて「小児性愛障害」の治療のことを知り、性被害者の手記も初めて読んだという。 加藤さんも「小児性愛障害」と診断され、今は週に一度、性依存症の自助グループのミーティングに参加している。 加藤孝さん 「どういう時やどういうコンディションの時に(性行動が)起こるのか。どういうことに警戒すればいいのか」 加藤さんは罪を二度と犯さないために、性的衝動が起きやすい状況を紙に書いている。一人で部屋にいる時や暇な時。そして、疲れている時、感情が乱れている時、などと分析した。 外出する時のルールも決めている。 この日は、週に1度の精神科への通院の日。病院へは電車とバスを乗り継ぎながら1時間以上かけて通っている。 自ら分析した性的衝動のリスクから、加藤さんは子どもを視界に入れないことを徹底している。性別にかかわらず子どもを連想させるものも刺激になる。制服姿の女子生徒が電車に乗ってくると視界に入らないよう席を移動した。駅のホームで小学生が通りかかると目を閉じた。私たちには当たり前の光景が罪を犯しかねないリスクになる。 診察では、1週間どんな状況がリスクだったか、どう対処したかを振り返っている。 加藤孝さん 「実際の行動に及んでしまう前に自分のメンテナンスをし続けるのが大事。手前手前でリスクを低減させるということが効果を上げているし、その必要がある」