「被害者も加害者も生まない方法を…」小児性犯罪の実態、当事者たちの思い【報道特集】
話の途中、加藤さんは突然10数秒間、目を閉じた。 ――さきほど目をつぶったのは? 加藤孝さん 「はっきりしなかったが、未成年のような人が視界に入ったのでちょっと困りました。今も視界に入っているので、ちょっと目線を…実際にはどういう人ですか?」 ――ブランコに乗っています。 加藤孝さん 「大人の方ですか?それとも…」 ――高校生ぐらい。 加藤孝さん 「ちょっと危険ですね」 常に周囲の状況を気にしながら生活し、加藤さんは20年以上罪を犯さずに過ごしている。 「小児性愛障害」の原因については世界中で研究が進んでいるわけではない。 ただ、気になるデータがある。小児性犯罪者117人に行った調査では、虐待やネグレクト、親にアルコール依存症などの問題がある家庭で育ったケースは合わせて36%だった。また、半数以上が学生時代に「いじめ」を受けたと回答。 全ての加害者に当てはまるものではないが、数少ないデータの一つだ。 加藤さんは母親の連れ子で、育った家庭では父親と血の繋がりがなかった。両親が喧嘩をすると「あんたのせいだ」と言われ、孤独を感じたことを今でも覚えている。 小中学校ではいじめを受け、高校から不登校に。同世代の人たちに恋愛感情を抱いたこともあったが、 自分に自信が持てなかった。 加藤孝さん 「試行錯誤を繰り返していけば成人同士の恋愛や性に傾けたと思うが、その時期にその道を諦めてしまって、どんどん小児性愛にのめりこんでいった」 加藤さんはSNSで過去の過ちを全て公表し、治療の経過を発信し続けている。同じ問題を抱える人に加害の衝動は抑えられることを伝えたい思いからだ。 ■小児性犯罪 被害者と加害者の思い 5歳のときに性被害にあった柳谷さん。被害を公表してから加害者への治療についても学んだ。加藤さんともSNSで繋がった。 柳谷和美さん 「加害者がいなくなれば被害者がいなくなる。私と同じような凄く苦しい時間を味わう子どもがひとりでもいなくなったらいいなと」