福井に”陸上奇跡の夜”が再び起きるのか…クラファンで一部資金調達の「アスリート・ナイトゲームズ・イン福井」は地方発信イベントのモデルケースだ!
ビッグイベントが終了すると、普通なら“お休みモード“となる。しかし、福井陸協はファン拡大とアスリートの価値を高めるために“チャレンジ”を続けたのだ。フェスのようなイベント型の陸上大会を開催すべく、吉田氏らが奔走。有力選手に出場交渉を重ねた。 「お金儲けのために何で協力しなきゃいけないんだという選手もいました。でも、何回か顔を合わせて話しているうちに、私たちの本気度と、『選手のために』という思いが伝わり、有力選手に参加していただけたのかなと思います」 昨年はクラウドファンディングで第1目標の150万円を悠々とクリア。最終的には第3目標の600万円を超える785万円が集まった。資金は選手のために最大限つぎ込んだ。招待選手の旅費交通費を負担して、一部のプロ選手には出場料も支払った。さらに招待レースには、1位30万円、2位20万円、3位10万円の活動支援金を設定。日本記録には200万円(※結果的に日本記録賞60万円×3、日本タイ記録賞20万×1となった)を用意した。 ただし、年に2、3カード開催されるプロ野球公式戦と同等の警備計画が必要となり、予定していた以上の費用が発生。最終的には約14万円の赤字になったものの、福井は昨夏のホットスポットになった。 夏夜の9.98スタジアムはホームストレートに絶好の追い風が吹く瞬間が多い。その特性を生かせる種目に絞り、クラウドファンディング支援者には日本の競技会ではタブーとされているフィールド内にも観戦エリアを設けた。通常の陸上競技はトラックとフィールドが同時進行されるが、1種目ずつ開催。そのため会場は一体感に包まれ、記録が出やすい雰囲気が高まっていた。好記録連発は偶然ではなく、必然だったのだ。 「好記録も出ましたし、ヨーロッパのような大会を実現できたことが良かったと思いますね。選手からは賞金も有難いと言われましたし、観客の皆様からも、『陸上は面白い』という感想をたくさんいただきました」(吉田氏) 大会終了後は選手とファンが記念撮影などの交流をして、約5000人の観客が“奇跡の夜“を楽しんだ。運営側の都合ではなく、選手とファンの要望に応えるかたちで開催された「Athlete Night Games in FUKUI」は大成功で幕を閉じた。