なぜ日本代表MF橋本拳人はロシアのロストフ移籍を決断したのか?「もっと厳しい環境に身を置かねばならない」
1930年に創設されたロストフは、ソ連崩壊の翌1992年にスタートしたロシア・プレミアリーグに第1回から参加。2015-16シーズンには2位に躍進し、初めて挑んだ翌シーズンのUEFAチャンピオンズリーグでは、グループリーグでブンデスリーガの強豪バイエルン・ミュンヘンを撃破している。 新型コロナウイルスの影響で中断されていた2019-20シーズンは、1試合を残して4位もしくは5位を確定。いずれの順位でも、来シーズンのUEFAヨーロッパリーグ本戦出場をかけた予選への出場権を手にできる。橋本にはプレミアリーグに加えて、もうひとつの舞台で戦える可能性があるわけだ。 ホームタウンのロストフ・ナ・ドヌは、ロシアの首都モスクワから南東へ約1000km離れた場所にある。ホームスタジアムのロストフ・アリーナは、2018年のロシアワールドカップのベスト16で日本がベルギー代表に屈した場所。ロストフを率いるヴァレリー・カルピン監督は、2002年の日韓共催大会で日本がワールドカップ初勝利をあげたロシア代表の主力に名前を連ねていた。 「話が来たときに、ここでワールドカップのベルギー戦が行われたと思いました。日本人がすごく悔しい思いをした場所で借りを返すというか、今度は僕がロストフの奇跡を起こせるように頑張りたい」 ロストフでのプレーを介して日本代表における序列をより鮮明にして、2年後のカタールのピッチで主力として活躍する未来予想図を、橋本は「奇跡」という二文字に反映させた。もちろん、言葉も文化も異なる新天地で自分を理解してもらう作業を含めて、ひと筋縄ではいかないことも理解している。 「自分のプレースタイルが確立されてきたし、自分が生きる道というのもわかってきました。ただ、海外へ行けば求められるプレーも変わってくるので、監督に求められることをしっかりと出したい。試合の映像をちょっと見ましたけど、身体の大きな選手が大勢いて、フィジカル的にも激しいリーグという印象を受けました。そうした相手にフィジカルだけで挑むのではなく、日本人のよさでもある頭を使って機敏に動くことや、自分の特長で言えば柔軟性や読みの部分で勝負していきたい」