「核シェルターが存在しない」日本の現実と、「普及する」スイスやウクライナ、イスラエルの実際 #災害に備える
自民党内でシェルター普及に向けた議連も発足
日本で核シェルターの整備は進むのだろうか。 「まずは核に対応したものでなくても、通常のシェルターをつくることから始めてはどうでしょうか」 前出の小川氏が提言する。 「地方も含めて都市部のビルをシェルターに指定して、水や食料、簡易トイレなどを備蓄する。韓国・ソウルのように地下鉄の出入り口を広げるといった対策はすぐにできるのではないでしょうか。それを国民が理解し、避難訓練などを行うことも大切です」 こうしてシェルターを活用することで、威嚇に対して国全体が浮足立たなくなる。 「ミサイルを防ぐためには、撃たせないための備えが必要です。イージス艦などによるミサイル防衛、反撃能力の構築、サイバー防衛の強化、そしてもうひとつが、シェルターによるミサイル対策です。備えをしている姿勢を見せることが大切なのです」(小川氏) それに核シェルターは地震や噴火にも強い。災害大国でもある日本では、防災シェルターと兼ねた運用も考えられるだろう。
そのために必要になってくるのは法整備と、予算づけだ。 昨年12月には自民党内で「シェルター議員連盟」が発足(共同代表は塩谷立元文部科学相と古屋圭司元国家公安委員長)。核シェルターの必要性や整備を政府に訴えていく。今後は核シェルター普及をめぐる議論が、活発化していくかもしれない。