長びくコロナ禍――現場から見える10代の困窮「必要なのは継続的な支援」
食事の回数を減らす、ひとり暮らしの若者たち
「D×P」理事長の今井紀明さんは、緊急事態宣言が明けたいまも「困窮した10代や大学生から毎日相談を受けている」と話す。10月は過去最多となる食糧支援を実施したそうだ。 「コロナ禍による制限で、飲食店は休業、イベント関係も中止になりました。アルバイト代が減少して、学費に充てるつもりだった奨学金に手をつけている大学生が目立ちます。そういった状況で、家賃や携帯代、水道光熱費を滞納したり、借金をしたりしている子は多い。当然、食事の回数を減らしている子は多いですね」 「D×P」によると、支援している若者の約6割が、公共料金の滞納や借金を抱えているのが現状だ。ひとり暮らしの大学生の場合、クレジットカードのリボ払いでしのいでいたケースもある。親に頼ることができず、仕事も見つからずに多額の借金していた10代もいた。 「これまでは親の仕送りに頼らずに、バイトで10万円くらいの生活費を稼いでいた大学生もいます。彼らはバイトがなくなるだけで生活が成り立たなくなってしまう。全国から相談は寄せられていますが、今年に入って深刻化していますね。メンタルを崩してしまう子も増えてきました」
新型コロナの第5波は落ち着き、国内のワクチン2回接種率は7割を超えた。少しずつ日常が戻ってきたように思えるが、今井さんは「若者へのコロナ禍の影響は長期に及ぶ」と見通す。 「これだけ若年層が長期的に打撃を受けたのは、終戦直後をのぞけば、戦後初といえるのではないでしょうか。1年半以上に及ぶ新型コロナの影響は大きい。借金を抱えている状況からの立て直しなので、就職や生活の安定に必要な期間は、最低でも半年、長くて2年はかかる子もいると思います」 政府によって18歳までの子どもがいる世帯や困窮学生への給付金の議論も進んでいるが、「D×P」が支援するような親に頼れない子や困窮する大学生を継続的に救うことにはならない。 今井さんは、「現金給付策は必要ですが、困っている状況の若者に届かないと意味がない。制度的な支援が必要なんです」と訴えた。