長びくコロナ禍――現場から見える10代の困窮「必要なのは継続的な支援」
今年6月から7月にかけて、キッズドアは支援家庭1469世帯を対象に調査を行っている。実施したアンケートでは、2020年の収入200万円未満の世帯が65%、貯蓄額10万円未満が51%。2020年1月以降に「十分な食品が買えなかったことがある」と回答した世帯は47%に上った。なお2017年に支援家庭147世帯を対象に実施した調査では、年収200万円未満の世帯は30.6%。低所得世帯の割合が急増していることがうかがえる。 美香さんのように、子の受験シーズンを迎えた家庭もある。ところが、「コロナ禍で生活が苦しくなって、子どもの大学進学のためにコツコツためてきたお金を使ってしまった」と涙ながらに打ち明ける親もいる。オンライン学習の環境が整っていない家庭は多い。
さらに、渡辺さんはこう続けた。 「親から『大学受験の大学入学共通テスト代、1万8000円が用意できない』という声も届きます。受験会場への往復の交通費が工面できない親もいる。親への就労支援も必要なんです」 支援を必要とする家庭に対し、こう語りかける。 「いま困っているのは自分の責任ではありません。それでも、声を上げて『助けて』と言うと社会から叩かれてしまう。『親の甘え』『お金がないなら諦めろ』と言われることを恐れています。まずは命をつなぐことや、子どもと安心安全に暮らすことを最優先に考えて、躊躇なく行政に助けを求めてほしい」
学費を払った後、バイトがなくなった大学生
昨春以降、10代の若者を支援する認定NPO法人「D×P (ディーピー)」(大阪市)にも「所持金が数百円しかない」「食べものを買うお金がない」などの相談が殺到するようになった。昨年5月から食糧支援を、6月からは現金給付を始めた。 お米やレトルト食品、野菜ジュースなど2週間分の30食を月2回の頻度で送る。必要に応じてシャンプーや生理用品、性教育の本を送ることもある。現金は、基本的に最長で3カ月間、月1万円を給付。相談者の状況に応じて増額や追加給付にも対応している。 母親とふたりで暮らす、関西にある私立大学に通う1年生の村上由紀恵さん(19、仮名)も「D×P」の支援を受けたひとりだ。