浴槽のあふれるお湯で「2000年以上にわたる原理」を発見…!喜びで「思わず裸のまま街に飛び出した逸話」も2000年以上残ってしまった天才の実名
“動き”に興味を示さなかったアルキメデス
物理学における業績の中でも、特に流体静力学の基礎はアルキメデスによって確立されたものであり、静力学の考察は「梃子(てこ)の原理」にまで及んだ。 ギリシャ哲学思想、あるいはギリシャ精神が「安定や静止、永続」を好み、「変化や運動、発生と消滅」を嫌悪したこととも大いに関係すると思われるが、アルキメデスの静的状態、つまり、運動を含まない力学上の諸問題に対する関心と理解が非常に深いことと対照的に、動力学や弾道学など“動き”がある現象に対しては驚くほど不完全であったことは興味深い。 アルキメデスのもっぱらの興味は、運動が発生する前の状態と運動が止まった後の、いずれにしても“動き”がない状態に限られていたのである。 ともあれ、流体静力学分野における「流体中の物体は、その物体が押しのけた流体の重さ(重力)と同じ大きさの浮力を受ける」という「アルキメデスの原理」は、現在でもさまざまな分野で応用されている。 この「アルキメデスの原理」を使えば、どのように複雑な形状の物体の体積でも簡単に求めることができるのであるが、私自身、「古代瓦の科学的研究」(拙著『古代日本の超技術〈新装改訂版〉』参照)や「オカリナの科学的研究」を行った際に、瓦やオカリナの比重(重さ/体積)を求める段階で非常にお世話になった。
「世界最初のストリーカー」
「アルキメデスの原理」発見の逸話は有名で、アルキメデスを「世界最初のストリーカー(街頭など、人前を全裸で駆けまわる人)」にしたことでも知られる。 当時、シラクサを支配していたヒエロン2世(在位前269~前215)はアルキメデスの親族であり、庇護者でもあった。 優れた数学者であり、技術者でもあったアルキメデスは、ヒエロン2世から、彼が黄金の王冠の製作を命じた金細工職人が、金の代わりに銀を混ぜてごまかしていないかどうかを確認するよう依頼された。現在のように、蛍光X線分析などの非破壊化学分析法が利用できれば話は簡単だが、もちろん彼らの時代に化学分析法は存在しない。 金と銀の密度(単位体積の質量)は2倍ほど異なるので(金:19.3グラム/立方センチメートル、銀:10.5グラム/立方センチメートル)、王冠の密度を調べれば一目瞭然ではあるが、密度を知るには王冠の正確な体積を知る必要がある。 もちろん、王冠を融かして定形に加工すれば体積は簡単に求められる。王冠を融かさずに、その体積を知るにはどうすればよいか?ーー難問である。
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