大阪万博、500日前にこの状態で本当に開催できるのか(後編) 「万博は儲かるという意識を捨てる」「熱狂は期待すべきではない」…関係者に聞かせたい、専門家2人の貴重な提言
―大阪で再び万博を開催する意義は何ですか。 過去に複数開催の経験がある都市はロンドン、ニューヨーク、パリ、バルセロナ、シカゴ、ブリュッセル、そして大阪の七つのみです。そのほとんどが万博黎明(れいめい)期の戦前で、1960年代以降に複数開催したのは大阪だけです。今回の2025年大阪万博には、万博の意義や目的が時代に合わせて変わる中で、過去の蓄積を継承しつつも今の時代にマッチする形にアップデートするという、万博史においても重要な役割が課されていると思います。 ―どのような部分をアップデートするのでしょうか。 初めて大阪万博が開かれた1970年と現在の大きな違いは「大衆の時代」から「多様性の時代」になった、ということです。当時、過去最多の来場者数を記録したあの熱狂は「みんなが行くなら自分も行きたい」という行動心理によって作り上げられました。ところが現代は「自分の興味がある場所にだけ行く」「趣味が合う人とだけ一緒に過ごす」という人が多くなっています。
2025年万博ではこうした行動心理の変化に合わせて多種多様なコンテンツをそろえると同時に、一つ一つの展示の質も充実させる必要があると考えています。そのためには海外パビリオンは大きな柱で、開催国としてより多くの世界の考え、声を集めることでコンテンツの多様化を図っていきます。 ▽「待たされない万博」に ―世界はデジタル化が進みました。運営面のデジタル化はどう進めますか。 デジタル技術を用いて会場運営を高度化する取り組みのことを「万博DX」と呼んでいます。これまで万博を訪れたことのある人の中には「混む」「待たされる」といったマイナスイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。今回の万博では電子入場券や入場予約を導入することで、混雑解消と来場者の平準化を実現します。他にも来場者の興味に合わせてお勧めのコースを提示する機能や、言語の壁を解消するための同時翻訳システムも取り入れる予定です。