大阪万博、500日前にこの状態で本当に開催できるのか(後編) 「万博は儲かるという意識を捨てる」「熱狂は期待すべきではない」…関係者に聞かせたい、専門家2人の貴重な提言
▽望むべき未来社会の姿とは ―大阪万博のコンセプトは「未来社会の実験場」です。 コンセプトを具体化するものとしては「未来社会ショーケース」という企業参加プログラムがあります。これまで企業参加はパビリオンやテーマ館への協賛が主流でしたが、自社の先進技術を会場内で披露してもらうといった新たな参加の枠組みです。 例えば2005年愛知万博の会場には自立移動する掃除ロボットが活躍しました。「会場をきれいにする」という目的だけを考えると、人を雇って短時間で清掃するのが最も効率的かもしれません。そこをあえてロボットが担うことで「掃除」というアウトプットではなく「誰がどう掃除するか」というプロセス自体を展示に変えたのです。 2025年大阪万博では、次世代交通を担う「空飛ぶクルマ」や水素船、電気自動車(EV)バスなど、より社会のニーズにマッチした技術体験を用意します。万博とは社会実装を促進させるプラットフォームのような存在です。未来社会を実現する手段となる先進技術や社会システムの実証、実装の場として企業に活用していただければと考えています。もちろん来場者にとっても、万博会場に来るだけで「未来社会」を体験できるわくわくした時間になるはずです。
―テーマとして「いのち輝く未来社会のデザイン」を掲げる今回の万博には何を期待すればいいのでしょうか。 多様化する社会に合わせて、色々なコンテンツ、方法で未来社会を提案していきます。同じ会場に行ってもそれぞれ得られる価値体験は異なり、来場した人の数だけ描く未来社会の数もあるでしょう。それぞれが万博で描いた未来社会を周囲と共有し、実現するためにどうしたらいいかを考えるきっかけを生むことができる万博を目指します。その輪が大きくなっていくことで、真に望むべき未来社会が実現するのではないでしょうか。 ※【前編】→「理念もマネジメント能力もない実動部隊」問題続きの背景に三つの構造的要因