かつて3万6千店あった雀荘は4千店に。「密回避」が叫ばれる中、危機的状況に陥った麻雀業界だったが…唯一の業界専門誌『麻雀界』編集長インタビュー
出版不況が言われて久しいですが、特に苦境に立たされているのが「雑誌」です。2020年だけで100誌以上が休刊。書店の数が減り、近年では物流問題も加わるなど、環境は厳しさを増すばかり…。そんななかでも刊行を続ける雑誌の強さのヒミツとは? 麻雀関連の雑誌が次々に姿を消す中、”唯一の業界専門誌”として刊行を続ける『麻雀界』の高橋常幸編集長にお話をうかがいました。(全2回の1回目/後編に続く) 【写真】人気だったという『麻雀界』親子大会特集号。最年少の参加者はなんと6歳! * * * * * * * ◆『麻雀界』とは ――『麻雀界』について、あらためてご説明いただけますでしょうか? 月刊誌として毎月1日に発行しています。流通のメインは書店販売ではなく、定期購読です。アマゾンでも購入できますが、麻雀業界全体の動向を追っている雑誌でもあるので、雀荘経営者など、業界関係者が読者の多くを占めています。 編集部としては私を含めて3名。今まさに最新号が製本所からあがってきたところなので、スタッフ総出で発送作業を進めています。ちなみに以前は550円でしたが、4月号から660円に値上げしました。 内容としてはその月ごとに大きなイベントや大会があるので、その取材記事がメイン。それに加えてプロ雀士たちの活動や業界の取り組み、そして連載をまとめている感じでしょうか。 もともと『月刊プロ麻雀』という1975年刊行の雑誌があり、それが季刊誌『麻雀四季報』に変わりました。 その季刊誌のときに、当時プロ雀士だった自分が携わる機会を得て、2010年の『麻雀界』リニューアルあたりから本格的に合流。前任者から編集長職を継いだ後、2015年からは隔月刊を月刊にして今に至っています。
◆追い風が吹いていたけれど… ――なかなか紆余曲折が。業界そのものの盛り上がりと関係しているのでしょうか。 雀荘は1978年当時、全国に3万6千店ほどありました。そこがまず麻雀業界のピークと言われています。 それから緩やかに下がっていって、今現在、雀荘の数はおよそ4千店になりました。 麻雀を扱った定期刊行誌も、かつてはマンガ誌なども含めて10誌くらいありましたが、今はうちを含めて3誌ほどに。 ただし、麻雀をする側に目を向ければ、00年代前半くらいに底打ちした感はあって。 それくらいから、オンラインゲームによる麻雀人口の増加に加え、「健康マージャン」と呼ばれる<お酒を飲まない・タバコを吸わない>健康的な楽しみ方がシニア世代を中心に広まりました。 そこにきて、18年にMリーグができたことでファン層が一気に拡大。勢いを盛り返してきた印象です。 なので、業界の変遷を追ってきた『麻雀界』としても、ここ数年のあいだ、追い風が吹いていました。それもあって15年に月刊化を果たせたわけですが、そこにコロナが冷や水を…という感じです。
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