かつて3万6千店あった雀荘は4千店に。「密回避」が叫ばれる中、危機的状況に陥った麻雀業界だったが…唯一の業界専門誌『麻雀界』編集長インタビュー
◆コロナの影響 ――業界への影響として、具体的にどんなことがあったのでしょうか? 先ほど申した通り、およそ50年前にブームがあって、雀荘が全国各地に続々に開店しました。 そこから今に至るまで経営を続けられてきたお店もあったのですが、”密回避”の流れの中で、避けるべき対象として”麻雀”が名指しされたりして…。 各地で大会やイベント、麻雀教室がストップ。 リモートワークでサラリーマンが集まる機会が減り、さらには高齢者を中心に来店者が激減したことで「建物や施設も古くなってきたし、この機会に」と閉店を選ぶ雀荘が続出しました。 なので、有名な老舗店の多くがこの数年の間で、静かに姿を消しています。
◆麻雀のイメージは変わりつつある ――学生の時、昔からの雀荘に通っていた一人として、それは悲しい…。 ただし、雑誌『麻雀界』の部数としては、幸いなことに大きなダメージを受けることはありませんでした。 コロナ禍のなかでも、ゲームを通じてさらに麻雀人口が増え、同時にABEMAやYouTubeなどで麻雀を扱うコンテンツも増えたりして。 一度は落ち込むも、結果として業界はより元気になった感があります。 たとえば、確かに老舗店の多くが閉店した一方で、若い方が手掛ける雀荘が各地で新規開店しています。 新しい雀荘は、かつての「薄暗い店内に、たばこの煙がもくもく」といったものでなく、非常に明るく健康的なお店がほとんど。スポーツバー、と呼んだほうがピッタリくるかもしれません。 5月にNHKでもそういった新規店を取材した「麻雀店のイメージが変わった」という特集が放送され、私もインタビューを受けました。
◆手ごたえを感じた企画 ーー麻雀を取り巻く環境に大きな変化が起きている…と。そんななか、『麻雀界』編集長として手ごたえを感じた企画はありますか? 「プロテスト潜入取材企画」は反響が大きかったですね。 協会によって、受験するための条件や、試験内容は変わるのですが、概ね二日間にわたる試験を受けて、そこで合格すればプロ雀士になれる、というもの。 でも、これまで「どうすればプロになれるのか」という情報について、複数のプロ団体を横断的に伝えるメディアがなかったようで、「よくぞ取り上げてくれた」という声が多く編集部に届きました。 定期購読者中心の雑誌ながら、その号は単号で購入いただく方も多かったです。 Mリーグができて、人気のプロ雀士が多く生まれた昨今、「ある程度腕に自信がついたところでプロを目指す」という流れが若いプレイヤーの間で自然になりつつある。実は求められていた情報だったのでしょうね。 あとはお子さんや高齢者が参加する大会情報などを扱った号も人気でした。自治体から購入されたりもして。創刊当時では考えられなかった流れです。 そうした反応だけを見ていても、麻雀に関心を持つ層の広がりや変化を、編集する立場として如実に感じています。
「婦人公論.jp」編集部
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