森保ジャパンはW杯最終予選11月シリーズでGリーグ4位の危機を抜け出すことができるのか…指揮官が明かした構想とは?
ともに勝利だけが求められる状況で、右ひざを痛めて10月シリーズで選外になった久保、左ひざに違和感を覚えてサウジアラビア戦前日にチームを離脱した堂安の東京五輪代表コンビの招集が、11月シリーズも厳しい状況になった。 特に久保は半月板を痛めているとスペイン国内のメディアで報じられ、復帰が年内ぎりぎりまでずれ込むのが避けられない見通しとなっている。久保と堂安を「ウイングもインサイドもプレーできる」と評価し、新たなオプションとなる[4-3-3]へ組み込む構想を明かした森保監督は、2人の将来性を考慮しながら慎重に言葉を紡いだ。 「順調に回復しているとメディカルスタッフから報告を受けている。ただ、けががすべて回復して、すぐに100%のパフォーマンスを発揮できるかと言えば難しい。本人たちはファイティングポーズを取っていると聞いているし、とてもありがたいと思っているが、焦って再発させてしまうのは選手のキャリアにとって最もよくない。戦力として考えたい選手ですが、私たちが判断を間違えないように、これからも変わらずにコミュニケーションを取っていきたい。まだまだ先の長い選手たちなので」 先発だけでなく得点がほしい展開で、パワーアップを図れる交代要員としても計算できる2人が、引き続き不在となるのが不可避となっただけではない。オーストラリア戦で右足を痛めて途中交代した大迫が、神戸で戦線離脱を余儀なくされた。 神戸はけがの詳細や全治期間などを公表していないが、完治が長引けば全幅の信頼を置いてきた大迫までも重要な11月シリーズで欠いて戦わざるをえなくなる。 一方で直近となる先週末のリーグ戦で、眩い輝きを放った選手が現れた。 今夏に川崎フロンターレから英プレミアリーグのブライトンをへて、ベルギーのロイヤル・ユニオン・サンジロワーズへ期限付き移籍した東京五輪代表のMF三笘薫が、現地時間16日のスランとのリーグ戦で初ゴールを含むハットトリックを達成した。 2点のビハインドを背負い、なおかつ退場者を出す絶体絶命のピンチで後半から途中出場した三笘は反撃の狼煙を上げるゴールを皮切りに、勝ち越しとダメ押しのゴールを決める大活躍でチームを奇跡的な勝利に導き、一夜にしてヒーローになった。 「ゴールという結果を出すことでスタメンに定着でき、そこでまたステップアップにもつながっていく。その意味で非常にいいプレーをしたと思う」 映像を介して三笘のプレーをチェックしていた森保監督は、オーストラリア戦後にヨーロッパへ派遣され、衝撃的な試合をスタンドで観戦した横内昭展コーチ、下田崇ゴールキーパーコーチからも報告を受けた。その上で三笘へこんな期待を託した。 「点が取れて、点につながるプレーができる選手だと思う。特に点を取って、自分の道を自分で切り開いていってほしい。すごく嬉しいです」 まだA代表でプレーしていない三笘を、もちろん現時点で11月シリーズへ招集するとは言えない。それでもいま現在の日本にはいない、卓越した個人技で局面を打開できる選手を加えることでさらに可能性が広がる。 例えば主戦場とする左ウイングに三笘を配置すれば、南野を大迫が不在となった真ん中に回す布陣が可能となる。三笘と守田、田中が持つ王者・川崎で培われたコンビネーションも、代表戦のピッチで生かす戦いが可能になる。 依然としてネット上では手腕を疑問視する声が絶えず、今後も勝ち点を取りこぼせばその分だけ解任を求める批判も高まる。プレッシャーと隣合わせの状況で、森保監督は想像力と予測力、準備力を融合させながらベストの陣容を選んでいく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)