なぜ亀田3兄弟は控訴審でも約1億円の倍増以上の賠償額で勝訴したのか…財政破綻のJBCが“解散”の衝撃事実も判明
一審では会見に出てこなかった当事者の現在3150ファイトクラブ副会長の大毅氏も「辛い時期は長かったですね」と心境を語った。 亀田側がJBCを訴えた背景にはJBCに改革を求めるという狙いもあった。興毅氏は「これから先、亀田兄弟と同じ思いをするボクサーが出ないようにして欲しい。JBCには、組織として公平性を保ち、しっかりと機能した組織になることをジムの会長としても強く望みます」と訴えた。 では敗訴という大打撃を受けたJBCの今後はどうなるのか。実は、JBCの財政が破綻したことにより、一般財団法人としての解散がすでに決まっているという衝撃事実も明らかになった。 「一般社団法人及び一般財団法人法」によれば 「純資産額が2期連続して300万円を下回った場合」には、解散しなければならないと定められており、すでにJBCは、その解散要件を満たしてしまったのだ。 JBCは、つい先日、理事会を開き、一般財団法人としての解散が承認されたという。ボクシング界にとって非常に重要な理事会だが、マスコミに開催の告知も情報も開示されることはなかった。 2010年度に約1億6000万円あったJBCの正味財産(純資産)は、この12年で恐るべきペースで目減りして、前年度の決算では、ついに約2500万円の債務超過になり、今年度の決算も「新型コロナの影響もあり赤字」(永田理事長)となった。 財政破綻した主な要因は、前JBC事務局長である安河内剛氏の不当解雇裁判を最高裁まで争い敗訴した裁判費用だ。北村弁護士も「裁判は弁護士費用、訴訟費用、和解金、損害倍書金と莫大なお金がかかる。違法行為を重ねることで組織から莫大なお金が流出しても(JBCは)平然としている」と指摘した。 一審で敗れた亀田裁判の供託金が必要となり現在、JBCの借金は1億円以上ある状況だ。 理事会では、同時に一般社団法人として再出発する方針が示され、そのことも承認された。ただちに、JBCが消滅するわけではないが、財政を建て直す糸口はなく、しかも、今回の判決の賠償額の1億10万円に0.5%の遅延損害金が加算される金額の支払い義務が生じることになった。 これまでは、東京ドームが救いの手を差しのべてくれていたが、昨年三井不動産にTOBされたため、そういった“甘え”は許されず、上告せずに賠償額が確定した場合、支払いのメドも立たない。そして忘れてはならないのは、そのJBCの財政を支えてきたのが、ライセンス料や試合の承認料であり、ボクサーやジム経営者、プロモーターらの血のにじむお金だということである。