年末年始のデータ整理に「2.5GbE対応」は武器になる! アイ・オー・データの新型家庭用NAS「LAN DISK L モデルE」の実力をチェック!
PC周辺機器を中心に手掛けるアイ・オー・データ機器が11月1日、新型の家庭用NAS「LAN DISK L モデルE」(LANDISK L HDL1-LE/HDL2-LEシリーズ)を発売した。直販標準価格はHDL1-LEシリーズが2万3980円から、HDL2-LEシリーズが3万9050円からとなる。 【写真】本体の様子 昨今は自作PCやゲーミングPCを中心に、家庭用PCでも2.5GBASE-T(2.5GbE)に対応する有線LANポート(またはネットワークアダプター)を備えるモデルが増えている。そのこともあってか、競合他社も2.5GBASE-T対応の家庭用NASをラインアップに加えている。 2.5GbEへの対応は、家庭用NASにおいて意味があるのか――アイ・オー・データ機器からHDL1-LEシリーズの2TBモデル(HDL1-LE02)とHDL2-LEシリーズの1TB×2モデル(HDL2-LE02)を借りて、実力をチェックした。
LAN DISK L モデルEの概要
LAN DISK L モデルEは、アイ・オー・データ機器のNASのうち、Linux OSを搭載する個人向けモデルの最新シリーズだ。「L」はLinuxに由来しているという。シリーズは1ドライブ構成の「HDL1-LEシリーズ」と、2ドライブ構成の「HDL2-LEシリーズ」に大別され、それぞれに1~8TBのHDDを搭載するモデルが用意されている。 具体的なラインアップと、直販標準価格は以下の通りだ。 ・1ドライブモデル(RAID非対応) ・HDL1-LE01(1TB):2万3980円 ・HDL1-LE02(2TB):2万5520円 ・HDL1-LE04(4TB):3万3110円 ・HDL1-LE06(6TB):4万9830円 ・HDL1-LE08(8TB):6万8970円 2ドライブモデル(RAID対応) ・HDL2-LE02(1TB×2):3万9050円 ・HDL2-LE04(2TB×2):4万7630円 ・HDL2-LE08(4TB×2):6万6440円 ・HDL2-LE12(6TB×2):9万7460円 ・HDL2-LE16(8TB×2):12万9140円 HDL1-LEシリーズはHDDが1台のみとなるため、NASでよく使われる「RAID」には一切対応しない。ただし、ネットワーク越しに複数台のPCでファイル共有を行うことはできる。「NAS入門機」として最適だ。 一方、HDDを2台搭載するHDL2-LEシリーズは、データの冗長性を高めるRAIDの他、アイ・オー・データ独自の「拡張ボリューム」(詳細は後述)を利用できる。RAIDは「RAID 0(ストライピング)」と「RAID 1(ミラーリング)」に対応する。ただし、RAIDや拡張ボリュームを利用すると、ストレージ容量が実容量の半分になる。筆者としては、片方のHDDが故障してもデータが失われないRAID1構成、または拡張ボリューム構成をお勧めする。 アイ・オー・データ独自の「拡張ボリューム」とは? 2ドライブ構成のHDL2-LEシリーズでは、先述の通りRAID 0/1や拡張ボリュームに対応しており、初期出荷時は拡張ボリュームを使うように設定されている。「拡張ボリュームって何?」という人もいると思うので、簡単に解説する。 拡張ボリュームは、アイ・オー・データ機器が法人向けNASで展開してきた独自のデータミラーリング方式だ。安全性とメンテナンス性を高めたことが特徴で、「改良型のRAID 1」ともいえる。 RAID 1との大きな違いは、HDD(ストレージ)の寿命にわざと“ズレ”を生じさせる点にある。 RAID 1では、2台のHDDに同じデータを書き込むことで冗長性を確保する。データを読み出す際も、2台のHDDから同時に読み出す。複数台のHDDを搭載できる新品のNASには、“同一の”新品HDDが搭載されている。勘の良い人なら気付くだろうが、同じHDDが搭載されているということは、同じように読み書きがなされると、同じタイミングで故障する可能性が高まる。これでは、冗長性を確保した意味が薄れてしまう。 そこで拡張ボリュームでは、書き込みは2台のHDDに同時に行う一方、読み出しは常に片方のHDDでのみ行うようにすることで、あえてHDDの寿命に“差”が出るようにしている。 拡張ボリュームはHDDを交換した後に行うストレージの「リビルド(再構築)」作業時間が短いというメリットもある。 RAID 1の場合、故障したHDDを交換すると、故障していないHDDからデータを“丸ごと”コピーすることでリビルドを実施する。そのため、リビルドの完了まで非常に時間がかかる上、故障していないHDDに対して大きな負荷を掛けてしまう。同じタイミングで稼働を開始した、同一のHDDが故障して交換したとなると、その時点で稼働しているHDDも故障が近づいている可能性が高い。 その点、拡張ボリュームは交換後のHDDに利用済み領域のデータのみをコピーする。空き領域までコピーすることがないため、早くリビルドが完了する上、正常なHDDに過剰な負荷を掛けることもない。 試しに、初期設定後のHDL2-LE02を使って、RAID 1と拡張ボリュームにおけるリビルドのパフォーマンスを比べてみよう。6GBのデータを書き込んだ状態でリビルドを実行してみたところ、所要時間は以下の通りとなった。 ・RAID 1:1時間59分15秒 ・拡張ボリューム:2分7秒 その差は歴然だ。書き込み済みのデータ容量が多いほど、その差は小さくなっていくが、ストレージ容量の上限ギリギリまでデータを保存するというケースは、思っているほどには多くない。そう考えると、より短時間でリビルドが完了する拡張ボリュームのメリットは大きく、ユーザー目線でもありがたい。