2024年10月現在、脚本家・生方美久は段ボール前で原稿を書いている
気分転換!気分転換!と、映画を観に行くと、「おもしろかった……あの脚本家さんすごいな……それと比べてわたしは……」と落ち込む。めんどくさい。散歩をすれば、家に帰ってから「2時間もただ歩いただけ!!!書けよわたし!バカ!!!!!!」と時間を無駄にした感覚に襲われる。めんどくさい。買い物をすれば「収入を得る手段をさぼっておいて買い物!?」と自分で自分を責め、食事をすれば「脳みそ働かせてないやつがなんでエネルギー摂取してるんだ!?」と生命維持活動にすら疑問を呈し、ただぼんやりとスマホを眺めては「あーあ。マイメロちゃんになりたい」と思考が停止する。めんどくさい。とにかくめんどくさい性分なのだ。その自覚があるだけ良いとも言えるし、自覚してしまうレベルだとも言える。「書けない」によって生活がすべてぐちゃぐちゃになる。何をしていても「脚本家のくせに書けない奴」として自分が存在してしまう。身体だけでなく、気も休まらない。 9月下旬にここまで書いていた。気分転換に書かなきゃいけない原稿から目をそらして、これを書いていた。10月に突入した現在。出さなきゃいけない原稿、諸々、とりあえず出せた。クオリティには不安しかないけど、見せられる形にはできた。毎度毎度難産だけど、今回は燃え尽き直後なのでより難産だった。普段は書かないことが多いプロットだったので尚更。仕事である以上、苦手なことから逃げちゃだめだな。これからはプロットともちゃんと向き合おうと誓った。あぁ、ひとまず休もう。資料読んだり、取材したり、原稿書いたりしながら、休も。でもさ、書いて提出するとさ、今度は打ち合わせがあってさ、打ち合わせがあるということはさ、次に書くものが発生するということでさ、あーあ、マイメロちゃんになりたい、なんですよね。脚本が書きたくて、脚本家になりたくて、なれたのに、脚本を書くのがいちばんしんどいんだから参っちゃいます。「天才」みたいな誉め言葉に腹が立ちます。天才だったらこんな苦しくないだろーって思っちゃう。アイデアが降ってきた!とかいう経験もないですし。思考!熟考!脳みそフル回転!頭使って書く!理詰め!理詰め!ってタイプの執筆をしております。かっこ悪い。振ってこいやアイデア。