第165回芥川賞受賞会見(全文)李琴峰さん「問題意識を小説の中に取り込む」
日本語を母語としない作家の受賞は2人目。どう思うか
司会:ありがとうございます。それでは質疑応答のほうに移らせていただきます。ご質問のある方、挙手をください。ご指名されましたら前方のほうのマイクスタンドまでお越しになってご所属をおっしゃっていただいた上でご質問ください。よろしくお願いいたします。挙手をお願いいたします。では早速。 読売新聞:読売新聞の武田と申します。このたびは受賞おめでとうございます。 李:ありがとうございます。 読売新聞:今まず、受賞の連絡を受けられて最初に連絡をした方はどなたかお聞きしたいんですが。 李:台湾のメディアの知り合いがいて、まず受賞したよというふうに連絡しました。そしたらここに駆け付けてくれました。 読売新聞:分かりました。ご家族へは連絡をされましたか。 李:私の家族はみんな台湾にいて、日本のことをあまり知らないんですよ。芥川賞って、なんだそりゃって感じなので。台湾でもニュース、ネット記事になっていて、そのURLを貼っておいたと、そんな感じです。候補になったこともあまり言っていないんですね。たぶん芥川賞っていうものを分からないので、候補になった時点では言っていない。 読売新聞:分かりました。作品の中で新しいクレオールとして、私たちが今使っている日本語とは違う片仮名でのニホン語というものをつくられていますけども、もし可能であれば現在の心境を一言、そのニホン語で語っていただくことはできませんでしょうか。 李:島の言葉ですか。私、片仮名のニホン語の話者じゃないので、ちょっとできないんです、すいません。 読売新聞:分かりました。すいません、もう1つお聞きしたいんですが、今回、楊逸さんに続く2人目の日本語を母語としない方の受賞となりましたが、その点について思うところを教えてください。 李:やっぱり母語ではない言語で小説を書く、そもそも生活するのも大変だし、小説を書くってなると本当に大変ですよ。大変って言ってもたぶん伝わらないと思うんですけれども、本当に大変です。だから楊逸さんは、自分がまだ作家になっていなかったときかな、そして自分がデビューして作家になってからもずっと、この方すごいなと尊敬しています。今回、楊逸さんに続いて非母語話者の2人目の受賞者となって本当に光栄に思います。