作家・佐々涼子さん「悪性脳腫瘍」で逝去 良性・悪性の違いや前兆となる“4つの初期症状”を医師が解説
すぐに病院へ行くべき「脳腫瘍の初期症状」
「頭痛や嘔吐を繰り返す、目が見えない、けいれんの症状がる場合は、脳神経外科へ」 前述したように、脳腫瘍は初期段階では症状はほとんど見られず、ある程度の大きさまで成長してからさまざまな症状を引き起こします。 つまり、何らかの症状がある段階で、その原因が脳腫瘍であれば、すぐに治療を開始しないといけない状態であることがほとんどです。放置すると命に関わるような病状であることも多く、すぐに脳神経外科への受診をお勧めいたします。 「受診・予防の目安となる「脳腫瘍の初期症状」のセルフチェック」 ・起床時に頭痛症状がある、嘔吐を繰り返す、目が見えない症状がある場合 ・意識を失ったり、けいれんを起こしたりする場合 ・顔の骨格が変化したり手足が大きくなったりした場合
脳腫瘍を予防する方法
発症の原因はわからないことが多いため、現時点では脳腫瘍を予防する方法は確立されていません。 一般的にがん・腫瘍を予防するには、禁煙、栄養バランスの良い食事、運動、適正な体形の維持、感染予防などが有効であるため、これを実践する以外に方法はないかと思います。 なお、脳ドックは症状が現れないような初期段階で脳腫瘍を見つけることができるため、早期からの適切な治療介入につながりますが、予防方法の一つという位置付けではありません。
「脳腫瘍の初期症状」についてよくある質問
ここまで脳腫瘍の初期症状などを紹介しました。ここでは「脳腫瘍の初期症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。 Q.脳腫瘍を発症すると目にどのような初期症状が現れますか? 村上先生: 目の症状は腫瘍の種類によって異なります。必ずしも初期に目の症状を自覚するとは限りませんが、代表的な症状の一部を紹介します。 下垂体腺腫では両側の外側の視野が見えにくくなる症状(両耳側半盲)が見られることがあります。また、脳幹部の腫瘍では、目の動きが悪くなりダブって見える症状(複視)や眼球が縦あるいは横に揺れる症状(眼振)などが出現することがあります。 Q.脳腫瘍の初期症状に物忘れはありますか? 村上先生: 記憶・認知機能に関する脳領域に脳腫瘍が発生したり、脳腫瘍の増大に伴ってむくみを生じたりすると物忘れ症状も出現する可能性があります。 Q.脳腫瘍の初期症状は小児と成人で異なりますか? 村上先生: 脳腫瘍の主な症状は、小児も成人も頭蓋内圧亢進症状や脳局所症状、けいれん発作であり同様です。成人の場合には大脳に脳腫瘍ができることが多いために脳局所症状が出やすくなります。 一方で、小児の場合には半数以上が脳幹部や小脳に脳腫瘍ができるために脳脊髄液という頭の中にある液体の流れが悪くなり頭蓋内圧亢進症状が出やすくなるという違いがあります。 また、乳幼児期の場合には、頭囲の拡大によって頭蓋内圧亢進症状が軽減されてしまうことや、自覚症状をうまく表現することができないことなどによって発見が遅れてしまうことがあることも小児の脳腫瘍の特徴の一つです。 Q.脳腫瘍の罹患率が多くなるのは何歳以上からですか? 村上先生: 好発年齢は脳腫瘍の種類によって異なりますが、脳腫瘍全体では50歳前後の成人に多く発症すると言われています。