作家・佐々涼子さん「悪性脳腫瘍」で逝去 良性・悪性の違いや前兆となる“4つの初期症状”を医師が解説
脳腫瘍の主な原因
転移性脳腫瘍は、全身にできたがんが転移して発症し、最も多い原発がんは肺がんです。原発性脳腫瘍の多くは、さまざまな研究がされておりますが発生する原因は明らかになっていません。 なかには、原因遺伝子が特定されている遺伝性腫瘍という珍しい脳腫瘍や、放射線治療後に発症する脳腫瘍もあります。 「遺伝的な要因」 脳腫瘍の発生には遺伝子異常が関係しているといわれています。この遺伝子異常の多くは、腫瘍組織だけに生じた突然変異と考えられていることから家族内で遺伝することはありません。 しかし、一部の脳腫瘍では特徴的な遺伝子異常が確認されており、家族内での遺伝していくことが知られています。 この遺伝性(家族性)腫瘍の代表疾患は、神経線維腫症(NF1、NF2 (merlin)、SMARCB1の変異)、フォンヒッペルリンドー病(VHL遺伝子の変異)、結節性硬化症(TSC1 (hamartin)、TSC2 (tuberin)の変異)です。 遺伝性脳腫瘍の多くは良性腫瘍ですが、悪性の性質を示すものもあります。また、基本的な治療は手術ですが、多発性に腫瘍が発生することや他臓器の腫瘍を合併することも多く、治療する機会が多くなってしまうこともあります。 「過去の放射線治療歴」 過去に何らかの病気に対して頭部への放射線治療を受けた後、10年以上経過してからその放射線照射部位の領域に腫瘍が発生することが多く報告されています。 これは放射線誘発性脳腫瘍と呼ばれるものですが、放射線照射によって正常細胞の遺伝子がダメージを受けることで腫瘍が発生していると考えられています。 「その他、生活習慣に関する原因候補」 さまざまな疫学調査の結果から、いくつかの生活習慣が脳腫瘍の発生リスクをあげる候補として報告されています。 例えば、未治療の虫歯が3本以上ある、過度に炭酸飲料や砂糖を摂取する、生野菜を摂取しない、コーヒーを多量に摂取する(1日7杯以上)場合には、脳腫瘍の発生が多いという報告があります。 これらは脳腫瘍のリスク因子として確立されたものではありませんが、生活習慣の改善は脳腫瘍に限らず疾病予防につながるので見直すことは重要です。