介護付きシェアハウスのまちづくり、空き家活用で街を拡張中。見守り付き賃貸住宅やバー、クライミングジムなどに 「はっぴーの家ろっけん」兵庫県神戸市
兵庫県神戸市長田区にある「はっぴーの家ろっけん(以下、ろっけん)」は、高齢者から子どもたち、外国の人、若者までが集い、まるで大きな家族のように過ごす、多世代型の介護付きシェアハウスとして注目を集めている。そのユニークな取り組みは、映画化もされるほど話題に。運営を手がける株式会社happyは、不動産会社でありながら、空き家再生事業を進める一環として高齢者等の見守り付き賃貸住宅や、クライミングジム、スパイスバーといった多彩なサービスを展開。代表の首藤義敬(しゅとう・よしひろ)さんが挑む「空き家×多世代×街づくり」は、地域にどのような変革をもたらしているのだろうか。
介護付きシェアハウス「ろっけん」と見守り付き賃貸住宅「HANARE」
JR神戸線新長田駅から六間道商店街(ろっけんみちしょうてんがい)を通って、ろっけんへ向かう。シャッター街だが、八百屋や履物屋など生活を支えるお店は、ぽつんぽつんと開いている。肉屋のおかみさんが、自転車で来た高齢の女性に「気を付けて帰ってな」と声をかけるのを見て、人情が残っている街なんだなと感じる。
取材時、通りに面したビルの1階にあるろっけんでは、「住み開き(すみびらき)」イベントを開催中で、道行く人も足を止めていた。「住み開き」とは、住居などのプライベートな空間の一部を開放し、多様な人が集う場所として共有する活動や拠点のこと。ろっけんには、看板がなく、一見さんは入りにくい雰囲気。そこで、日常の延長線上として、ろっけんを街に開くイベントを不定期で行っている。
イベントには、「ろっけん」の活動に関心を持ち、県外から見学にやってきた人々もいた。首藤さんは、皆を前にして、「大事にしているのは、ハッピーな暮らしを問い続けること」と語りはじめた。ろっけんは、多世代型介護付きシェアハウスだが、「私たちの会社は介護だけを行っているわけではありません。街の中の空き家をリノベーションするのが事業の主軸。空き家を使って、いろんな人の居場所やイベントスペース、自分たちの遊び場に変えています」と話す。
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