【ABC特集】「元の身体に戻して」終わりの見えない健康被害…小林製薬“紅麹サプリ”問題 補償の実態は
Aさんは、現在も厳しい食事制限を強いられています。 (Aさん)「塩分・タンパク質・リン・カリウムは気をつけてくださいと。1日に卵1個とか、肉は30グラムとか、生野菜を食べるときも水に10分以上つけて、リン・カリウムを流して食べないといけない」 成分表を確認しながら買い物をする手間を省くため、塩分制限された宅配弁当をよく利用しているといいいます。外食することもなくなり、夫婦で好きだったというラーメンは、病気になってから一度も口にしていません。 (Aさんの夫)「嫁が食べたいのに食べられへんからラーメンも食べられへんし。僕もスーパーのお弁当を食べたりとか、一緒に。生活が一変っていうか、もうむちゃくちゃ」
公表の遅れが“被害拡大”招いた恐れ
9月、Aさんを含む当事者らが被害を訴えました。 (Aさん)「何もかも最初から遅いですよね。後手後手に回られて。対応も全然なっていないし、私はこんな身体になってしまって憎しみしかありません」 東京で暮らす50代の女性は・・・ 「人生狂わされました。食事が一番の楽しみだったけれども、毎回苦痛になっています。1月に具合が悪くなった人たちの声があったというのに、そこで使用停止などのお知らせがあれば、たぶんここまで悪くならなかったと思う」 中でも強く非難したのは、小林製薬の公表の遅れについてです。
健康被害の可能性があるとして、小林製薬が自主回収を公表したのは3月22日。しかし、その2ヵ月以上前から、健康被害を疑う声が小林製薬に寄せられていました。 最初は1月15日。九州の医師から「小林製薬の紅麹サプリを摂取していた人が、急性腎不全を起こして透析治療を受けている」という連絡が。 1月31日には消費者から「腎臓の管などに異常があり、医師から『小林製薬の紅麴サプリが原因の可能性が高い』と診断された」という声が寄せられました。
さらにその翌日、東京の阿部雅紀医師が連絡を入れます。 (日本大学板橋病院 阿部雅紀医師)「(患者に)共通していたのはこのサプリだけでしたから。それ以外の原因というのは、なかなか見当つかない状態でしたね」 持病がなく腎障害になった患者3人が、共通して小林製薬の紅麴サプリを飲んでいたのです。「同様の症例が出ていないか」小林製薬に確認した阿部医師ですが・・・ (阿部医師)「これまでに腎機能障害が出た患者さんはいないということでした」 事前に2件の腎障害の連絡を受けたにもかかわらず、事実と異なる回答をしていた小林製薬。 また「サプリとの因果関係がわからない」として、健康被害に関する情報を3月22日の会見の日まで、消費者庁や保健所に届け出ることもしませんでした。