笑えない東京五輪直前テスト戦での快勝…なぜUー24代表はホンジュラス戦の後半に失速したのか…「たまたま勝てた」
オーバーエイジを含めたヨーロッパ組は、ジャマイカ代表に4-0で快勝した6月12日の国際親善試合をもってオフに入った。それぞれが自主トレなどを積んだなかで、東京五輪へ向けてチームとして本格的に始動したのは今月5日だった。 直前までJリーグを戦っていた国内組とは、当然ながらコンディションに差が生じる。加えて、静岡県内で実施された事前キャンプから気温と湿度が急激に上昇。ホンジュラス戦でフル出場した冨安は、日本特有の夏を思い出すように苦笑した。 「しんどい時間帯もあったし、もちろん試合後の疲労感もありますけど、オフ明けに日本の暑い夏が加わったなかでは、個人的には思ったよりも動けた。ただ、そのなかでチームとして上手くゲームをコントロールしないと、自分たちを苦しめることになる」 日本のシュート数は前半の10本から3本に激減し、ホンジュラスに並ばれた。そのうちの後半20分のそれは遠藤のパスミスを拾われてスルーパスを通され、反応したFWリゴベルト・リバスが放ったもの。シュートはGK谷晃生(湘南ベルマーレ)にわずかに触れてコースを変え、さらにカバーに入った冨安に当たってオウンゴールとなった。 強化を目的とした親善試合である以上は、課題があぶり出される試合内容はむしろポジティブに受け止めていい。しかし、高温多湿の度合いがさらに増し、準決勝まですべて中2日の過密日程で行われる東京五輪では同じような状況、つまりは疲労が蓄積し、チームのコンセプトを実践しようにも身体が動かないケースが生まれかねない。 だからこそピッチ上で全員が思いをシンクロさせながら、冨安が言及したようにゲームを上手くコントロールする術が求められる。実際にホンジュラス戦の後半になると、冨安は前線の選手たちに「ちょっと待って」と何度も伝えている。 「前半は縦パスが入って、シュートまで上手くいっていたんですけど。後半は縦パスが入ってもボールを失い、結果としてカウンターを受ける回数が多くなった。なので、縦パスが上手く入ったとしても一度ボランチへ下げるとか、あるいは相手をサイドへ深く押し込んでから相手の陣内でボールを回さないときつい、と思ったので」 目の前の一戦だけでなく、目指す金メダルにたどり着くまでの6試合をトータルで考えたときに、自分たちが主導権を握り、自分たちのペースでボールを回しながら、体力の消耗を防ぐ時間帯も必要だと冨安は考えて実際に指示を飛ばした。 ある意味でのリスクマネジメントとなるが、ホンジュラス戦の後半を目の当たりにした森保監督の受け止め方は同じだったとは言い難い。試合後にはこう語っている。 「もっともっと攻撃のクオリティーを上げていかなければいけない。体力的にきついなかでも、オリンピックでは勝っていかなければいけない。疲労が出てきたときでも、少しでもいい形で相手ゴールに向かっていかなければいけない。そこでボールを失っても粘り強く守っていくところは、今日の試合を振り返りながら修正していきたい」