なぜ久保建英は東京五輪を前に「世界を驚かせたい」と語ったのか…その真意と可能性は?
開幕が間近に迫った東京五輪へ向けて5日から静岡県内で始動していた、男子サッカーのU-24日本代表は今日10日に事前キャンプを打ち上げ、12日のU-24ホンジュラス代表との国際親善試合(ヨドコウ桜スタジアム)へ向けて大阪へ移動する。 キャンプ5日目の9日の練習前には、トップ下として攻撃のタクトを振るう20歳の久保建英(レアル・マドリード)がオンライン取材に対応。東京五輪に臨む正式メンバー22人のなかに名を連ねてから初めて、母国開催のヒノキ舞台に挑む心境を語った。
「ここで勝つことが個人の成長やアピールにもつながる」
年齢的には2024年に開催される次回のパリ五輪世代となる久保のなかで、飛び級で代表候補に招集され続けてきた東京五輪の位置づけは常に変わらなかった。 久保は2019年11月のコロンビア代表戦後に「東京五輪だから、ではなく、出場するからには優勝するしかない」と明言していた。 実際に代表メンバー入りを果たし、チームが始動したいまも同じニュアンスの言葉が繰り返された。 「出るからには勝つつもりでいくのは、どの大会でも変わりません」 新型コロナウイルスのパンデミックで東京五輪の開催が1年延期され、今年に入っても終息する兆しが見えない状況で、久保はヘタフェのインタビューでこう語ってもいた。 「もし開催できるとなったときのために100%の力で準備しておく、というのはどのスポーツも関係なく必要であり、自分たち選手としての義務だと思っています」 言葉通りにシーズンを戦い抜いた疲れなど関係ないとばかりに、久保は事前キャンプを通して順調な仕上がりぶりを見せている。そして、いよいよカウントダウンに入った東京五輪でのメダル獲りの意義を問われると、新たな思いをつけ加えた。 「この大会で勝ったからといって(世界との)差が縮まるわけではないと思うけど、ここでしっかり勝つことで個人の成長やアピールにもつながるし、チームの成長や日本サッカーの世界へのアピールにもつながると思うので、いい意味で世界を驚かせるような大会になればいいかなと思っています」 いい意味で世界を驚かせる――。おそらく初めて言及する目標だが、驚かせる条件となる日本のメダル獲りへの自信は久保のなかで変わらない。ならば、驚かせた先に何を思い描いているのか。個人と日本代表とに分けて久保は言葉を紡いだ。 久保は2019年6月にFC東京からレアル・マドリードへ移籍したが、1シーズン目はマジョルカ、2シーズン目はビジャレアルとヘタフェへそれぞれ期限付き移籍。ラ・リーガ1部の舞台で66試合に出場して5ゴールをあげてきた。 「2年間、いろいろなチームで試合に出て、いろいろな対戦相手とプレーして、しかも世界のトップレベルの選手たちとプレーしたことで、間違いなく自分のプラスになっていると思いますし、それがいまの自分の自信につながっていると思います」