「また“男性差別”で炎上?」牛角、しまむら、川口ゆりアナ…なぜ今夏、男性差別に怒る人が多発し、炎上が連鎖していったのか
そんな不満を抱えていた男性にとって、体臭に関するコメントはこれまでの怒りや悔しさをぶちまける格好の機会。「ほぼ無名で一般人に近いフリーアナにそこまで言うのか」と感じるほど彼女が叩かれたのは、このような長年蓄積された不満が加わったからでしょう。 もともと男性は幼いころから「男の子でしょ」などと言われてさまざまなことを求められ、大人になっても「男だから」などと言われて責任を負うケースが少なくありません。また、時代が平成、令和と変わる中、何か発言したら「女性差別だ」「男尊女卑」などと非難される機会が増えていました。
そんな長い経緯があってのことだけに、まだまだこの連鎖は続きそうなムードがあります。さらに怖いのは、「男性差別だ」と声をあげる状況がこれ以上続くと、過去の言動なども掘り起こされかねないこと。 実際、ある芸能事務所は女性タレントたちに「男性差別につながる発言には気をつけるように」という注意と、動画などにおける「過去の発言などをチェックするように」という指示を出したそうです。 ■「男性をひとくくり」にする怒りも
少し見方を変えると、たまりにたまっていた不満の一因は、「男性差別を気にしなければいけない自分の現実」によるところにもあるように見えます。 実際、男性の中でも地位や収入の高い“強者”は、今回の件を「男性差別だ」と怒らず、すべて「別に構わない」「言わせておけばいい」という程度にしか感じていないのではないでしょうか。 たとえば経営者や政治家が「子どもの世話をしない」「おじさんばかり」と言われたり、体臭への注意を呼びかけられたり、女性だけが半額であったりすることを「男性差別だ」と、本気で怒るようには思えないのです。
「男性差別だ」と怒るのはそれ以外の人であり、中でも地位や収入などの点で“弱者”を自認する人ほど声をあげているのかもしれません。その意味で「男性差別だ」という話題の連鎖は、怒りというより「男性をひとくくりにしないでほしい」「強者ではない自分の立場も考えてくれ」という心の叫びにも見えます。 そしてもう1つ、「男性差別」が連鎖する理由として見逃せないのは、「ある人びとによって恣意的に作られたものではないか」ということ。前述したようにトラウデンさんと牛角の件は「男性差別だ」という批判より擁護のほうが多く、「怒っている人は一部に過ぎない」という印象がありました。