老舗タンナーが皮革のふるさと姫路で作る、こだわりの革:株式会社山陽
ー立ち上げにあたり、苦労したことはありますか? 戸田: 「弊社は中小企業なので、資金も人材もそう多くはありません。また、創業して100年以上、革素材だけを作ってきたので、ブランドとして最終製品を作ることは難しかったです。 ブランドを実現するための準備期間として、2年かかりました。“こういうことをしたいんだけどやらない?”と革製品好きの社員に声を掛けて、社内プロジェクトとして立ち上げ、そもそもブランドって何?というところからスタートしたんです。 ブランド名の『TAANNERR』は造語で、“時を超えて続いていくもの”という想いを込めてつけました。 企画からデザインまで、職人さんと相談しながら進めてきたのですが、社内の未経験者たちでやってきたので大変でした」 ー「TAANNERR」をどのようなブランドへ成長させたいですか。 戸田: 「まだ立ち上げてから2年も経っていないので、まずは知っていただくところからはじめています。 定番となる商品から徐々に幅を広げて、ゆくゆくは“TAANNERRでこんな革製品も買えるんだ”と言っていただけるくらい商品のジャンルを増やしていけたらいいなと考えています」 森本: 「姫路は昔から革産業を営んできた地域です。今でも姫路市と隣のたつの市で日本の牛革の約7割強を生産しています。自社ブランドを立ち上げたのは、SDGsも含めて革の魅力を伝えたいのはもちろんですが、革産業の聖地として地域に貢献したいという想いも背景にあります。 戸田: 「姫路は、観光資源があまりありません。姫路に来てくださった方の多くは、姫路城だけ見て別の地域に移動されます。 姫路市として、いかに長い時間滞在していただくか、観光で地域を盛り上げられるのかが長年の課題です。そのため、地場産業である革を観光資源に変えられないかと考えているところです。今後は、地域ブランドを目指して成長させていきたいです」