年齢と共に"眠れない"女性が増加...。「あ~よく寝た!」と思えるために出来ることは?サプリは期待できる?専門家がアンサー
忙しなく働く現代人に不足しがちといわれる睡眠。特に女性は、ホルモンバランスの変動がその量や質を大きく左右するのだとか。“性”という観点から、改めて自分の眠りを見直してみよう。 【写真】ちょっと疲れちゃった...そんな時に食べたい「元気をくれる」ヘルシー食品BEST19 話を伺った人… 高尾美穂(MIHO TAKAO): イーク表参道 副院長。スポーツドクターやヨガ指導者としての顔も持ち、講演会のほか、動画や音声配信にて女性の人生と健康にまつわる内容を発信している。近著に『教えて美穂先生! 50歳からのこころとからだ』(ビジネス社刊)。
女性ホルモンは、睡眠をどう変える?
日本の人々の睡眠時間が各国と比べワーストレベルで、特に日本人女性の睡眠時間が短いという言説は、近年多くのメディアで取り沙汰されてきた。睡眠を充実させれば生活も上向くはずと理解しているのに、年を重ねて心身が成熟していくにつれ、“眠れない”悩みを耳にする機会のなんと多いこと! その原因の一端が女性ホルモンにあるのではと、産婦人科医の高尾美穂先生に話を聞いた。「実際の睡眠量に関しては男女でさほど差がないというデータもありますが、十分に睡眠が取れたかどうかの体感── つまり満足度は、女性のほうが低い傾向に。特に40代以降で大きく下がります」。
目覚めたときの“よく休めた”という実感、すなわち「睡眠休養感」は、眠りの“質”の核。厚生労働省の報告では身体機能や認知機能、感情の安定度のほか、心血管疾患の発症や肥満、糖尿病といった代謝機能障害にも関連するとされている。 「この“満足度”に、女性ホルモンが影響を及ぼすんです。卵巣でつくられるエストロゲンには副交感神経を優位にする働きがあり、不安定になると心身がリラックスしにくい。女性が生理周期とともに生活している以上、ホルモンバランスの変化によって睡眠の質にバラつきが生じてしまうんです。妊娠出産期はなおのこと、更年期になると夜中に大量の汗をかき、その不快感や体の冷えで起きてしまうという声も」。
【Q&A】 眠りにまつわる疑問を解決!
【Q1.】 眠りの満足度を高めるセルフケアは? A. 睡眠とは、疲労やダメージのリカバリータイム。つまり眠りを深くするためには、頭や心ばかりでなく肉体のほどよい疲れが必要となる。 「昼間は活発に、夜は静かにという、リズムとメリハリが大事なんです。気温が一定の室内で長時間仕事をする人もちょっと遠くへランチを買いに出かける……などでよいから、自分の意思で活動的に過ごす時間をつくってみて」と高尾先生。 「動けば体温が上がり、夜になってそれが下がるときに眠気を催すんです。“睡眠には就寝1~2時間前の入浴が効く”などとよくいわれますが、それはこの温度差がポイントとなるから。眠りにつく少し前に筋肉が温まるストレッチや足浴をおこなったり、体を中から温める白湯を飲んだりするのもおすすめ」 【Q2.】 サプリで睡眠の質を改善できる? A. サプリメントにおいても自分の感覚優先で「“効く”と思えるのならば取り入れてみてもいいですよ」と高尾先生。「しっかり休める環境につながりそうなのが、中枢神経で働くアミノ酸の一種であるGABAです。女性ホルモンとも関係があり、プロゲステロンがGABA受容体に働くことで不安を減らしてくれるといわれていて。更年期の不定愁訴を改善する効果もあるとされているんです」 ただし残念ながら、睡眠の満足度を高めたからといって“量”を減らしてもよいということにはならないそうなので、ご注意を。「眠りに関して効率化を図ることはできず、そういう計算式は成り立ちません。まずは睡眠時間をしっかり確保するほうがずっと重要で、こちらを整えることが第一」
From Harper's BAZAAR October 2024 Issue