“教育格差”是正に向けた1つのヒント 個別指導型オンライン学習のメリデメ
個別指導型オンライン授業のメリットとデメリット
行政も教育格差問題について無関心ではない。例えば、国が実施している初等教育での政策として、放課後教室がある。元教員など地域の大人をスタッフに迎え、学校の空き教室を使って補習などの学習指導を行う方法だ。しかし、当塾に通う子どもたちと話していると、顔を合わせたくないクラスメイトが同じ放課後教室にいる「恥ずかしさ」によって利用する気になれないのだという。 そんな中、オンラインによる個別指導学習を一定期間実践しているからこそ言えることとして、この方法こそが上記諸問題を解決し得る1つの策なのではないかと、確信を深めている。理由は、いくつかある。(1)守秘性が高く、周囲の生徒の目を気にする必要がない(2)授業を映像として記録可能で、復習に役立てることが出来る――などがその一部だ(詳しくは表を参照)。
メリットがあるということは、当然デメリットもある。タブレット・パソコン(PC)などの機器の用意や、通信環境が整っていない家ではそのための追加費用が必要となることなどが主なものだろう。また、自宅ではまともな食事もできない生徒を想定し、無料の食事付きサービスを行ってきたが、それができなくなるのも当塾特有のデメリットと言える。
始めた当初は、対面指導に比べてコミュニケーションが取りにくい、手元資料の共有が難しいなどの課題もあったが、機器の導入や、回を重ねることによって解消されていったことも記しておく。
オンライン授業の可能性に懸ける
さて、ここ数か月に渡る経験を積む中で、私は団体の代表として密かに決めたことがある。それは、もしコロナ禍が終息したとしても、個別指導型のオンライン授業は無料・有料問わずさまざまな方法で継続・発展させていく、と言うことだ。画面越しの学習指導であろうが、自分だけを見つめて勉強に付き合ってくれる大人が同じ時間を過ごすだけでも、子どもたちにとっては大きな意味がある、と確認することができたからだ。 そのためには、教材や食材の運搬などで車移動が基本となる運営としての立場でもオンライン授業を見守ることができるよう、カーナビと携帯を用いた「車内会議室化」をメーカーと共に実現させるなど、インフラの強化を続ける必要がある。 またオンライン授業の効率化を望み、前章記載のデメリットを解決するためにも、人が集まれる場所はやはり必要となるため、新たな自習室兼食事スペースを確保するべく中野区にマンションの一室を借りることにした。開室および利用者の募集は9月1日からとし、既にコロナウイルスへの対策も講じている。 今後も自分達の団体だけで成果はあげられるように最善は尽くすが、もし初等中等教育やその他教育機関と当塾が連携を行いオンライン授業におけるシステム構築ができるなら、かなりの確度を持って教育格差是正の一助になり得ると考えている。そのような可能性も追求していきたい。