「芸能事務所の移転、とは考えてないんですよ」ーー創業45年のアミューズ会長、山梨の新本社に込めた願い
「芸能界は誰でも入れる」というのは幻想です
現在、アミューズが擁するアーティストは200組を超える。 「よく、『どういう人が芸能界に向いていますか』と聞かれるんですけどね。僕だって、『これは売れる』と思って、外したことは何度もあります。ただ、そのアーティストのことを、好きになれるかどうか。今はもう、若い社員たちが新しい才能を探して、育てようとしてくれています。彼らが惚れたなら、それでいいじゃないかと。僕は、社員たちを信じているということです。新人アーティストのステージは、なるべく観に行くようにしています。それがやっぱり、楽しい。僕にとって、アーティストと社員は、家族のようなもの。向こうがどう思っているかは知らないけどね(笑)」 未来のために、アミューズの環境を、大至急変えること。アミューズ ヴィレッジはその一貫であり、これは社員、アーティスト、そしてファンの方たちへの恩返しだと大里は言う。 これからエンターテインメント界を志す若い世代にアドバイスをするとしたら? と尋ねると、大里は「とにかく勉強!」と断言した。 「誰かに憧れるだけじゃなくて、もっと引いた目線で、自分の将来を考えてほしい。いろんな知識を身につけないと、エンターテインメントはできない。それは学歴のあるなしではない。本を読んだり、自然に触れたり、畑を耕すのもいい。いろんな体験をして、教養を身につけてほしい。これは、アーティストにも言えることです。音楽や芝居だけやっていればいいというものじゃない。あらゆることに興味を持って学ぶ人がいい。第一線の人たちは、物知りで、いろんなチョイスを持っている。『芸能界は誰でも入れる』というのは幻想です。やっぱり勉強しないと。だから、才能があって、向上する意欲のある人は、全力を挙げてバックアップしますよ。その才能を、もっと開かせるために」 ___ 大里洋吉(おおさと・ようきち) 1946年青森県生まれ。株式会社アミューズ代表取締役会長。立教大学文学部卒業。69年、渡辺プロダクションに入社。78年、アミューズを設立。サザンオールスターズ、三宅裕司、富田靖子をはじめ、数多くのアーティストを育成する。創立10周年に行ったオーディションでは、福山雅治を発掘。2006年、東証1部上場。2021年、本社を山梨県西湖に移転、社屋が今年秋に完成した。