【前編】「不登校ビジネス」何が問題視されたのか 「わらにもすがる思い」孤立し不安に陥る保護者
「『再登校を目指す』という選択肢を当たり前にすること」
これまでのスダチのHPやプレスリリース、代表の小川涼太郎氏の著書などを見てみると、まず同社は「不登校に悩むご家族やお子様にとって『再登校を目指す』という選択肢を当たり前にすること」を目標に掲げてきた※。実際に2020年7月にサービスを始めてから、1300人以上の子どもが再登校を実現しており、支援開始から再登校までの日数は平均17日、再登校できた子どもは90%以上に達するという。 ※現在、スダチのHPでは「再登校をゴールとしていません」と表現している また、不登校を「学校」と「家庭」の2軸で捉えており、どちらかの状況がよければ子どもはつらさを乗り越えて学校に行くことができると考えている。ただし、学校の状況を変えるのは容易ではない。そこで家庭の状況を変えることにアプローチしていくというのが、スダチのスタンスだ。 小川氏は、不登校の根本的な原因は「正しい親子関係を築けていないこと」にあるとしている。正しい親子関係とは、親が家庭の主導権を握り、ダメなことはダメという厳しさもありながら、愛情深く温かく子どもを守ることのできる関係とのことだ。 具体的な支援としては、サポーターと呼ばれるスタッフが、毎日オンラインを通じて保護者に対して親子の関わり方を提案・助言する。子ども本人を直接支援するわけではない点が特徴だ。そしてサポーターの助言の下、親は「毎日の起床時間・就寝時間」や「スマホやデジタルゲームの禁止」などのルールを決め、これを守るよう子どもに求める。こうして親が家庭の主導権を握る一方で、1日10回以上褒めるなど、子どもにたっぷりと愛情を注ぐことで子どもの自己肯定感を高めていくという。 これらの取り組みの継続により、正しい親子関係が構築され、短期間で再登校できるようになる、というのだ。なおスマホやデジタルゲームの禁止は、子どものデジタル依存が不登校を長引かせる要因になっているという考えによるものだ。